2023年05月1日
人流データの活用方法は?人流データの活用メリットと注意点、活用事例をご紹介
最近よく聞く「人流データ」という言葉。
AIや機械学習の技術の発達によってデータを分析しやすくなったこともあり、企業でも活用シーンが増えていますが、実際のところ、
「人流データってどう活用するの?」
「どんな分野で活用されているの?」
「人流データを使うことにどんなメリットがあるの?」
…などと考えられている担当者の方も少なくないかもしれません。
そこで今回は、人流データを活用するメリットや注意点と併せて、分野ごとの活用シーンや実際の活用事例について分かりやすく解説していきます。
目次
データ活用で注目される「人流」
「人流(じんりゅう)」とは、人の移動を伴う一連の動きを指す言葉です。
人流データは、主に人がいつ・どこから・どこへ移動しているのか、また、その場所に人がどのぐらい滞在しているのかなどを表すものですが、そのデータの取得には、携帯端末のGPS・Wi-Fi・ビーコンなどの機能や基地局情報、またカメラなどが使われています。
それらから取得した人流データを分析することで、自治体のインフラ整備や交通、防災対策などだけでなく、企業のマーケティングや店舗運営などにおいても活用されています。
人流データの取得方法については、こちらの「人流とは?データの取得方法や活かせる分野について解説」で詳しくまとめていますので、ぜひ参考にご覧ください。
人流データを活用するメリット
人流データは様々な分野で活用されていますが、中でも企業のマーケティングや店舗運営においては、人流データを活用することによって多くのメリットを得ることができます。
では、人流データの活用に一体どんなメリットがあるのでしょうか?以下で分かりやすく解説していきます。
人流データ活用のメリット①:購入までの顧客行動が把握できる
人流データを活用するメリットの一つに、顧客が来店してから購入するまでの動きを分析することができるという点があります。
例えば、顧客がいつ・どの通路から売場に流入しているのか、どの商品棚の前でどのぐらいの時間とどまっているのかなど、顧客が商品を手に取るまでの行動を分析することで、売場レイアウトや棚割りの改善、商品補充のタイミングの最適化などに活用できるため、機会損失を防止し、売上増加に繋げることができます。
人流データ活用のメリット②:集客に活用できる
人流データの分析によって商圏や顧客の行動パターン、興味・関心を把握することができます。
それらを活用して自社で設定しているターゲット層とのズレを改善することで、潜在顧客への適切なアプローチが可能となるなど、新規顧客の獲得に向けた集客施策に役立てることができるという点もメリットの一つだといえます。
人流データ活用のメリット③:行動変容に対応しやすい
人流データ活用のメリットには、人々の行動をパターン化してそのデータを蓄積していくことで、社会情勢による生活様式の変化などにも対応しやすくなるという点もあります。
例えばデパートや商業施設の場合、これまでなら休日や平日の夕方から人出が増加するなどの傾向がありましたが、新型コロナ感染症による緊急事態宣言以降、人々の行動パターンが大きく変化し、従来と同じ戦略では経営が難しくなっています。そういった時に、人流データを活用して人々の行動パターンを分析しておくことで変化に対応しやすくなるのです。
人流データ活用のメリット④:未来予測がしやすくなる
前述と同様に、人流データを蓄積しておくことで、未来予測がしやすくなるというメリットもあります。
人流データを活用する際には、蓄積された過去データを分析したり、リアルタイムで得られるデータをもとに現状把握を行ったりすることが可能ですが、それらの分析結果から“未来予測”を導き出すことも可能です。特に近年ではAI技術の発達により、人の動きや滞留時間以外にも様々なデータを収集することができるため、今後さらに幅広い分野での利活用が期待されています。
人流データ活用におけるデメリット・注意点は?
人流データの活用にあたってはメリットが多くありますが、反対に注意しておくべきポイントもあります。
では、一体どのような点に注意しておけば良いのでしょうか?
ここからは、人流データを活用する際の注意点についてまとめていきます。
人流データの活用方法を事前に決めておく必要がある
人流データを活用すれば多くのメリットがあるからと言って、テータ収集が目的になっては意味がありません。
どのような施策においても同じですが、人流データの解析結果をどのように使うのかを事前に決めておかなければ、予算と時間を使って不要なデータを集めているだけとなってしまいます。そのため、自社の課題解決に本当に人流データの取得が最適なのかを検討するとともに、人流データを活用して何を解決したいのか、解析結果をどう活用するのかなど、あらかじめ目的や用途を明確にしておくことが重要です。
個人情報漏洩の対策が必須
人流データの取得方法によっては、個人情報が多く含まれるケースもあります。
例えば、カメラを利用して人流データを取得する場合は、詳細な個人情報は分からずとも、顔や服装などである程度の個人の特徴を捉えてしまうことも。そのような場合は、データを送信しなくても端末内で処理が可能なエッジAIカメラを利用して解析後にその場で元データを破棄するなど、情報漏洩対策と併せて個人情報への配慮も検討する必要があります。
関連記事:「エッジAIとは?クラウドAIとの違いや自社の課題に合わせた選び方」
データ活用のために専門知識が必要
人流データは企業のマーケティングや業務効率化に活用することができますが、データを分析・活用するためには専門的な知識が必要となります。
例えば、「人流データの分析結果をどう見るか」や「課題解決のためにどう加工するか」など、専門知識が無ければデータを正しく捉えるのは難しいのが実情です。
もし社内に専門知識を持った人材がいない場合は、人流データの取得から分析までの一連の流れをまとめて依頼できる業者や専門家に相談おくのが良いでしょう。
すぐに効果に繋がるわけではない
人流データを活用することで、業務効率化や売上増加などが期待できるという側面はありますが、必ずしも効果がすぐに出るわけではないという点には注意しておきましょう。
目的によっては長期間のデータを取得しなければならないケースもありますし、人流データの分析結果から導き出した戦略に試行錯誤が必要な場合もあります。そのため、人流データを活用する際には、短期的な効果を求めるのではなく、長期的な視野で計画を立てて課題解決に繋げることが大切です。
人流データの活用シーン
人流データを分析することで、特定の場所における人の数や動き、滞留時間などが把握することが可能であるため、幅広い分野で活用が進んでいます。
ここでは、具体的にどのようなシーンで人流データの活用が行われているのかをまとめます。
自治体
人の活動状況や流れを把握することで、地域を活性化するだけでなく、都市開発や公共政策の際に役立っています。
また時間による人口密度や動線などを把握することで、災害時の帰宅困難者数予測や防災計画の策定にも利用されています。
医療
各エリアの人流データをもとに、感染症の拡大予測や感染予防対策などに役立てられています。
交通機関
人流や車両の動きを分析することで、各交通機関の運行ルートの改善や渋滞の緩和策などに利用されています。
小売・外食・商業施設
店舗内外の人流データを分析することで、商圏分析や混雑状況の把握、レイアウト改善など、店舗運営やマーケティングに活用されています。
広告・販促
オンラインでの施策とは異なり、効果測定のしにくい実店舗などでのキャンペーンやイベント、広告などに関しても、人流や視線の動きなどのデータと併せて分析することで効果を測定しています。
テーマパーク・文化施設
人流データは、テーマパークや美術館などの施設内における来場客の動線や滞留時間を把握するのにも活用されています。施設内の混雑や渋滞を改善することで、売上増加の機会損失にも役立っています。
観光
人流データを分析して、観光地の動線や観光客の属性を把握してどう周遊させるか、またどうやって集客するかなどの施策を検討する際に活用されています。
工場・物流倉庫
工場や物流倉庫などでは、工場内で無駄な行き来がないか、人の行き来が多くて事故のリスクがありそうな場所はないかなど、人流データを分析して業務効率化や安全確認などに活用しています。
人流データの活用事例
人流データには様々な活用方法がありますが、実際の現場ではどう利用されているのでしょうか?
ここからは、人流データの具体的な活用方法として、店舗や自治体などで私たちVieureka(ビューレカ)が行った人流分析の事例をいくつかご紹介します。
人流データ活用事例①:店舗における人流モニタリング
店舗運営においては、来店客の行動分析に人流データが活用できます。
こちらの店舗の事例では、上記の画像のように来店客ごとの動線データ(軌跡)を視覚的に描画することで、店内通路の通過状況や売場の立寄り状況を把握。
来店客が長く留まっている商品棚はどこか、来店客が引き込めていない売場はどこかなどを分析し、売場レイアウトや商品配置を工夫することで売上向上に繋げています。
人流モニタリング事例の詳細はこちら
人流データ活用事例②:来店客の動線・購買行動分析
こちらは、アイス売場の購買行動分析に人流データやヒートマップ画像を活用している事例です。
主通路からアイス売場への買い物客の流れを人流データとして視覚化。主通路の奥から来る買い物客のうち、どの程度の人数がアイス売場へ入ってくるのかを測定し、アイス売場への到達人数の割合を分析しています。
このように人流を視覚化し、来店人数だけでなく、売場への到達人数や商品接触データなどを総合的に分析することで、店舗運営やマーケティングに反映することも可能です。
株式会社ロッテ様の事例詳細はこちら
人流データ活用事例③:自治体における社会実験
人流データは自治体の社会実験にも活用されています。
こちらの画像は、大阪府守口市の魅力を再発見する社会実験「守口さんぽ」にて、桜通商店会通りと堤防道である文禄堤に合計3台のAIカメラを設置し、歩行者の人流調査を行った事例です。
この事例では、社会実験の期間中および平常時の歩行者の人流データを取得。通行量やその属性・人流等を分析して得たデータは、社会実験における効果の検証はもちろん、守口市駅北側エリアにおける地域ニーズの把握などにも活用されています。
大阪府守口市の社会実験についての詳細はこちら
自治体DX展のレポートについての詳細はこちら
人流データ活用なら視覚的に確認できる「来客分析サービス」
来店客の人数だけでなく、属性や動線の把握、商品棚の活性度の調査などを把握しておくことは、店舗運営やマーケティングにおいても重要です。
しかし、労力をかけてデータを数値化しても、数字だけではなかなか分析しづらい…という担当者の方も少なくありません。そんな時に活用できるのがVieureka(ビューレカ)の「来客分析サービス」です。
Vieureka(ビューレカ)の「来客分析サービス」なら、「来店客の人数」、「属性情報(性別、年齢、滞留時間)」などの数値データと併せて来店客の動線データ(軌跡)を描画した画像を提供するため、数値にすると消えてしまう来店客の“動き”を視覚的に確認することが可能。店舗・売場や施設における人の流れや傾向を直観的に把握することができます。
また、来店客の動線データだけでなく、ヒートマップ画像を使って商品棚の陳列状況や商品の動きの差分などを把握することもできるため、データをもとに棚割りや売場レイアウトを改善すれば、売上や顧客満足度の向上も期待できます。
AIカメラの導入ならパナソニック発のVieurekaにご相談を!
パナソニックの研究開発部門から発足した私たちVieureka(ビューレカ)は、「世界の今をデータ化する新たな社会インフラを創造」をミッションに掲げ、開発・導入・運用などのハードルを下げるプラットフォームを提供しています。
高性能なCPUを内蔵したエッジデバイス「Vieurekaカメラ」をはじめ、これまで取得できなかった情報をデータ化して活用する「Vieurekaプラットフォーム」や顧客行動や商品の陳列状況をデータ化する「来客分析サービス」など、お客様のご要望に沿った導入のご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。