2023年05月26日
ディープラーニングにできること・できないこととは?画像認識技術の活用例とともに解説
AIの分野において欠かすことのできない「ディープラーニング」の技術。しかし、ディープラーニングという言葉は知っていても、ディープラーニングを使ってできることや具体的な活用方法については、あまり知らない…という方も多いかもしれません。
そこで今回は、ディープラーニングを使ってできること・できないことをまとめて解説するとともに、具体的な活用方法についてもご紹介します。AIに対する理解を深め、自社の業務効率化に活かしたいとお考えの方に必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
できることがさらに幅広く!ディープラーニングとは
ディープラーニング(Deep Learning)とは「深層学習」とも呼ばれており、AI分野において欠かせない技術の1つです。
「ニューラルネットワーク(NN)」と呼ばれる人間の脳の神経細胞(ニューロン)の構造をベースにして作られているシステムで、ニューラルネットワークを構成する3つの層の内、“中間層(隠れ層)”と呼ばれる部分を多層(ディープ)化することで、複雑で高度な処理にも対応できるようになっています。
現在、ディープラーニングは各分野から注目を集めているのですが、その要因には大きく3つあります。
- 近年のIT化によってディープラーニングの学習に必要なデータが入手しやすくなった
- コンピューターの高性能化で学習時間が短縮でき、従来よりも高精度な処理が可能となった
- エッジデバイスでも利用ができるようになった
上記のようにディープラーニングを取り巻く環境が飛躍的に向上したことで、AIを使ってできることの幅が広がり、今では、AIに欠かせない技術として各方面から注目を集めています。
機械学習との違い
AIの分析手法を語る際に、ディープラーニングと並んで出てくる言葉に「機械学習」というものがあります。
機械学習とは、多くのデータから一定のルールやパターンなどの傾向を見つけ出して学習する仕組みのことで、ディープラーニングはこの機械学習の中にいくつかある学習手法の1つという位置付けになります。
機械学習における他の学習手法と異なるのは、ニューラルネットワークの多層(ディープ)化です。入力層・中間層(隠れ層)・出力層と呼ばれる3つの階層で構成されているニューラルネットワークのうちの“中間層(隠れ層)”を多層(ディープ)化している点が、ディープラーニングの大きな特徴となっています。
ディープラーニングでできることとは?
AIに必要不可欠なディープラーニングの技術ですが、ディープラーニングを使ってできることには何があるのでしょうか?
ここからは、ディープラーニングを活用してできる4つの分野についてまとめていきます。
- 画像認識
- 音声認識
- 自然言語処理
- 異常検知
ディープラーニングでできること①:画像認識
ディープラーニングを活用してできることの1つ目は、画像認識です。ディープラーニングを活用すれば、カメラで撮影した画像や映像などから特徴を見つけ出して分析し、人物・物・文字など何が映っているかを識別することができます。
このディープラーニングにおける画像認識は、ニューラルネットワークを多層化することによって高い精度での認識が可能となっており、そのレベルは人間の認識能力を上回るほどだとも言われています。
具体的な活用例としては、顔認証や工場などでの検品作業などがあり、既に、製造業や医療・福祉などの幅広い分野での実用化が進んでいることから、今後も更なる技術の発展に注目が集まっています。
ディープラーニングでできること②:音声認識
ディープラーニングを活用してできることの2つ目は、音声認識です。
音声認識とは、コンピューターが音声を認識してテキストデータに起こしたり、声によって人を判別したりすることができる技術のこと。ディープラーニングを活用すれば、単に音声を認識して文字に起こすだけでなく、コンピューターとの対話も可能となります。
具体的な活用例には、スマートフォン・スマートスピーカーの音声アシスタントや会議の議事録作成サービスなどがあります。
ディープラーニングでできること③:自然言語処理
ディープラーニングでできることには、自然言語処理というものもあります。
自然言語処理とは、人の会話や話し言葉をコンピューターに認識させる技術のことを指します。私たちが日常的に使っている話し言葉は、正しい文法だけが使われている訳ではなく、曖昧な表現が使われていたり複雑な文脈であったりすることも多いのですが、ディープラーニングを活用すれば、そのような曖昧さも的確に処理することが可能となります。
この自然言語処理技術の活用例としては、スマホやパソコンなどで文字入力する際の文字変換や外国語の翻訳、また企業の問い合わせなどで使用されるチャットボットなどにも使われています。
ディープラーニングでできること④:異常検知
ディープラーニングでできることとして最後にご紹介するのは、異常検知です。
異常検知とは、問題やトラブルになりそうなデータを検出する技術のこと。ディープラーニングを活用することで学習済みの過去のデータを参照して、基準とするものから外れているものや他のパターンとは異なる挙動があるものを自動的に識別することができます。
異常検知の技術は、車の自動運転にも取り入れられており、標識や渋滞などの道路の状況をリアルタイムで分析して判断できるようになっています。近年では、大手自動車メーカーなどが完全な自動化を目指して開発を進めている分野です。
関連記事:「AIに欠かせないディープラーニングを使った画像認識とは?活用例や導入における注意点」
ディープラーニングにできないことはある?
ここまでディープラーニングにできることについて解説してきましたが、反対に、ディープラーニングにできないことや苦手なことには何があるのでしょうか?
人が教えていないものを判断すること
ディープラーニングは、人が教えていないものを判断することはできません。基本的にディープラーニングでは、教えられたデータをもとに判断するという仕組みとなっているため、人間から教えられたもの以上のことはできません。
ですので、コンピューターが学習していない環境、つまり前例がないものに関しては、データを分析して正確な判断を下すと言ったことが難しいのが実情です。
もちろん、人間側で学習データを用意してコンピューターに教えたものに関しては処理ができますが、用意できる学習データにも限界があり、人間が何でも教えることができるという訳ではありません。そのため、人間が想定できないような解答を出したり判断したりといったことも、ディープラーニングにできないことの1つと言ってよいでしょう。
ゼロから新しいものを生み出すこと
ディープラーニングには、ゼロから新しいものを生み出すことができないという点もあります。
最近では、絵を描いたり小説を書いたりするAIサービスも誕生していますが、それらはあくまでも人間が与えた学習データを基に生成しているデータであるため、全くゼロの状態から何かを創造するという作業はできません。
ディープラーニングでできることの1つ「画像認識」の活用例
先程少し触れましたが、ディープラーニングにはできることも多く、特に画像認識の分野では人間の認識能力を上回ると言われています。既にその技術はAIカメラなどに採用されており、幅広い業種で導入が始まっているため、自社の業務に活用できないかと注目されている方も多いのではないでしょうか?
そこで、近年多くの企業で導入が進んでいるAIカメラの活用方法について、業界別に代表的な例をご紹介します。
- 製造工場
- 小売店・ショッピングセンター
- オフィス
- 医療・福祉施設
製造工場での活用方法
近年、AIカメラの導入が急激に進んでいるのが製造業です。
- 段ボール数のカウント
- 異物の混入や傷などの外観検査
- 不良品の判別
- アナログメーターの数値確認 …など
特にディープラーニングの画像認識技術を活用すれば、物体を認識して数をカウントするだけでなく、異物の混入や他のものとは異なる形状をした製品を見分けることができるなど、検品作業に適しています。
小売店・ショッピングセンターでの活用方法
画像認識技術を活用すれば、小売店やショッピングセンターにおける来店客の性別・年齢・動線・滞在時間などを把握することが可能です。
- 来店客の属性(性別・年齢など)
- 動線や滞在時間
- 視線の動き
- 車のナンバーや車種 …など
例えば、店内にAIカメラを設置しておけば、何人が入口を通過して、その内の何人がこの棚の前に来たのか、滞在時間はどれぐらいかなどの顧客行動が把握可能。また、顔の向きや視線の検知もできるため、デジタルサイネージが視聴されているか、また通過人数のうち何人が視聴しているかなどのリサーチにも適しています。
顧客の属性や動線などを把握しておくことで、マーケティングリサーチに応用できるほか、店内レイアウトや商品仕入れに役立てることができます。
オフィスでの活用方法
AIカメラの顔認証や人物検知を利用すれば、オフィスや工場などへの入退室管理の自動化も可能です。
- 入退室した人物・時間
- 在室状況 …など
前もって従業員の顔を登録しておくことで、人物ごとの入退室履歴が記録されるほか、リアルタイムで在室状況も確認できます。また、登録のない人物の場合は通知が送信されるなど、不審者の侵入を防ぐことも可能です。
医療・福祉施設での活用方法
ディープラーニングの画像認識技術は、医療・福祉施設でも入居者の見守りや事故防止などに活用されています。
- 入居者の動線
- 夜間の動き
- トイレの回数 …など
例えば、介護施設で入居者の動線を把握しておけば、事故の原因になりやすい状況や場所を特定して改善することができます。また、転倒などの事故を防止するために、前後の映像を分析してAIに学習させておけば、転倒事故などを予測・検知してスタッフに知らせるなど、医療・福祉施設に入居されている方やそのご家族が、安心・安全に過ごせるように、多くの施設で導入が始まっています。
今後も注目しておきたいディープラーニング
今回は、ディープラーニングでできること・できないことについて解説してきました。AIを上手く取り入れることで、コスト削減や業務の効率化を図ることができるため、今後もディープラーニングがどう進化するか注目しておきたいところです。
今回、活用例としてご紹介したAIカメラについては、こちらの「AIカメラにできることは?検知の種類を知って業務の効率化を実現!」でも、詳しくご紹介しております。もし、コスト削減や業務効率化のためにAI導入をお考えの方や興味を持たれた方がおられましたら、ぜひ一度、私たちVieureka(ビューレカ)にお問い合わせください。
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