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2023年05月24日

  • コラム

AI・機械学習・ディープラーニングの違いとは?AI導入するなら知っておきたい基礎知識

AIによる画像認識とは?

AIを語る上で欠かせない機械学習やディープラーニング。AIについてはどんなものか何となく分かるけれど、機械学習やディープラーニングについてはどんな違いがあるのか分からない…という方も少なくないのではないでしょうか?

そこで今回は、そもそもAIとは何かと併せて、機械学習とディープラーニングの違いやその関係性について分かりやすくまとめていきます。

AI・機械学習・ディープラーニングの違いとは?


AI・機械学習・ディープラーニングの3つは、同じ属性として一緒に語られることが多いのですが、それぞれ占める範囲に違いがあるため、まずはそれぞれの関係性を把握することが大切です。

まず、AI・機械学習・ディープラーニングの中で最も大きい括りとなるのが「AI(人工知能)」です。そのAIと呼ばれる技術領域の中に「機械学習」があり、その機械学習の中にいくつかある学習方法のうちの1つに「ディープラーニング」と呼ばれる技術があるという関係性になっています。

AI・機械学習・ディープラーニングについて、それぞれを簡単にまとめると以下のようになります。

AI人間の知能を模倣して作られたコンピューターの技術や仕組み
機械学習大量のデータから一定の傾向を見つけ出して学習する仕組み
ディープラーニング人間の脳の神経細胞構造を模して作られた学習システム

ここからは、AI・機械学習・ディープラーニングがそれぞれどのような仕組みとなっているのか、またどのような特徴や種類があるのかについて分かりやすく解説していきます。

研究者によって見解に違いがある!AI(人工知能)とは?

AI(人工知能)とは

AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の略で、日本語では「人工知能」と訳されています。

最近では皆さんもよく耳にする言葉だと思いますが、実は、この「AI」という用語については、明確な定義がある訳ではありません。一般的には、人間が持つ知能を模して作られたコンピューターのシステムや技術などを指すことが多いようですが、時代や研究者によって少しずつ見解が異なっており、専門的に細かく考えるとAIという言葉が持つ意味の範囲がとても広くなっているのが実情です。

尚、後ほど詳しく解説する「機械学習」や「ディープラーニング」は、このAIの領域に内包されており、人工的に作られた知能を実現させるための手法の一つという位置付けとなっています。

汎用型AIと特化型AI

AIにも種類があり、用途に焦点を当てて分類すると「特化型AI」と「汎用型AI」の2つに分けられます。

「特化型AI」とは、ある一つの作業に特化したAIを指し、代表的なものとしては画像認識や音声認識などが当てはまります。近年、オフィスや工場などで広く活用されているのが、この特化型AIと呼ばれるものとなります。

反対に「汎用型AI」とは、特化型AIのように特定の作業を対象とするのではなく、人間と同様に考えながら様々な課題を処理するAIのことを指します。この汎用型AIは、人間のように自ら学習して問題を解決するとされていますが、現時点ではまだ実現レベルには至っておらず、今後、実用化されることに期待が寄せられています。

強いAIと弱いAI

「特化型AI」と「汎用型AI」以外にも、アメリカ・カリフォルニア大学の教授で哲学者でもあるジョン・サール氏による「強いAI」と「弱いAI」という分類方法もあります。

この分類では、AIが自意識を持つかどうかという点に焦点が当てられており、人間の知能と同様に自意識を持つAIを「強いAI」、自意識がないものを「弱いAI」と呼んでいます。尚、「強いAI」は前述の「汎用型AI」に、「弱いAI」は「特化型AI」に近い概念であると言えます。

機械学習とは?その意味や手法の違い

機械学習とは

機械学習(Machine Learning)とは、大量のデータをコンピューターに読み込ませて、アルゴリズムに基づいて分析する仕組みのこと。映像や音声などの大量のデータから一定のルールやパターンなどの傾向を見つけ出して学習させることで、特定のタスクを自動的に行うことができるようになります。

この機械学習には大きく3つの手法があり、それぞれ「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」と呼ばれています。

教師あり学習

教師あり学習とは、学習データを与える際に、その正解となるデータにラベルを付けて一緒に学習させる手法です。正解データと比較して正しいかどうかを判別するという仕組みとなっており、学習データが多くなるほど精度が高くなります。

この教師あり学習のアルゴリズムには、代表的なものに「分類」と「回帰」の2つがあり、オブジェクトを識別する際や、売上予測を立てる際に活用されています。

【分類】:「この画像がリンゴかどうか」など、回答がカテゴリに分けられているものに使用
【回帰】:過去のデータから数値を予測するなど、回答が数値であるものに使用

教師なし学習

教師なし学習は教師あり学習とは違い、正解がない状態で大量のデータの中から規則性や法則性などを見つけ出す手法です。

大量のデータの中からコンピューター自身が分析しながらパターンを見つけ出すため、正解がないデータに対しても識別や予測が可能。ECサイトでのレコメンドやターゲットマーケティングなどでも活用されています。

強化学習

強化学習とは、コンピューター自身が与えられたデータを基に試行錯誤を重ねることで、データの価値を最大化する学習手法です。

この強化学習は前述の学習手法とは違い、人に与えられたデータをそのまま学習して答えを導き出すだけではなく、どのように行動すれば価値を最大化することができるかをコンピューター自身が探し出すのが特徴。近年では、ゲームやロボット制御などに活用されています。

ディープラーニングとは?機械学習との違い

ディープラーニングとは?機械学習との違い

ディープラーニング(Deep Learning)は機械学習の一種で、「深層学習」とも呼ばれています。

前述の機械学習の代表的な学習手法とディープラーニングの大きな違いは、「ニューラルネットワーク(Neural Network)」をベースにして作られているシステムであるという点です。

ニューラルネットワークとは、人間の脳の神経細胞(ニューロン)の構造を模して作られた数理モデルのこと。そのニューラルネットワークを構成する3つの層の内、“中間層(隠れ層)”と呼ばれる部分を多層(ディープ)化することで、機械学習よりも精度が高く、複雑で高度な処理にも対応できるようになります。

近年では、コンピューターの処理能力の向上によって、膨大な量のデータでも高速で処理することができるようなったこと、またエッジデバイスでも利用ができるようになったことで従来よりも活用の幅が広がり、ディープラーニングはAIの分野において欠かせない技術となっています。

ニューラルネットワークの種類

ニューラルネットワークには、いくつかの種類があります。
ここでは、それぞれの特徴をまとめていきます。

DNN(ディープニューラルネットワーク)

DNNは、ディープラーニングの最も基本的な構造です。
ニューラルネットワークの3層のうち、中間層(隠れ層)と呼ばれる部分を2層以上に多層化したもので、従来のものより複雑な処理が可能です。

CNN(畳み込みニューラルネットワーク)

CNNは、「畳み込み層」や「プーリング層」と呼ばれる層を持っているのが特徴です。
特に、画像認識を得意としており、顔認証などにも活用されています。

RNN(再帰型ニューラルネットワーク)

時系列のデータを扱う際に使われることが多いのがRNNです。
売上の推移や株価の動きなどを予測する際に活用されるほか、音声認識に必要な会話の前後の時系列データを処理する際などにも使われています。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

通常、ディープラーニングにおけるニューラルネットワークは1つですが、このGANの場合は、生成ネットワーク(Generator)と識別ネットワーク(Discriminator)と呼ばれる2つのネットワークを組み合わせて学習を行うのが特徴です。
2つのネットワークを競わせることで、未知のデータを生成することもできるため、近年、注目を集めています。

ディープラーニングで何ができる?

ディープラーニングが使われている分野としては、主に「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」「異常探知」の4つが挙げられます。

画像認識

画像認識は、カメラで撮影した画像や映像などから特徴を抽出して、人物や物・文字などを識別する認識技術の一つです。

ディープラーニングを活用した画像認識技術は、人間よりも精度が高いとも言われており、既に製造業や医療・福祉などの幅広い分野で実用化が進んでいます。

音声認識

音声認識は、音声を認識してテキストデータに起こしたり、声によって人を判別したりすることができる技術です。

ディープラーニングの音声認識を使用すれば、文字起こしだけでなく、コンピューターとの対話も可能となるため、スマートフォン・スマートスピーカーの音声アシスタントなどにも活用されています。

自然言語処理

私たちが日常的に使っている話し言葉をコンピューターに認識させる技術を自然言語処理と言います。

ディープラーニングの自然言語処理技術であれば、日常言語の曖昧さや複雑な文脈でも、的確に処理することが可能であるため、スマホやパソコンなどで文字入力する際の文字変換などに活用されています。

異常検知

過去のデータの中から異なるデータを検出する技術を異常検知と言います。

ディープラーニングでは、基準とするものから外れているものや他のパターンとは異なる挙動があるものを識別することができるため、現在では車の自動運転にも取り入れられています。

関連記事:「AIに欠かせないディープラーニングを使った画像認識とは?活用例や導入における注意点

AI・機械学習・ディープラーニングの違いについて


AI・機械学習・ディープラーニングは、似たような言葉として混同されることもありますが、それぞれの関係性や占める範囲に違いがあります。

ここで改めてそれぞれの関係性について整理しておくと、AIを実現する手法の一つに機械学習があり、さらにディープラーニングはこの機械学習における学習方法の1つという立ち位置となっています。

AI > 機械学習 > ディープラーニング

近年では、生産効率の向上やコスト削減などの課題解決のためにAIを導入する企業も増えています。
また、今後もさらに幅広い分野での活躍が期待されているため、このAI・機械学習・ディープラーニングの違いについて正しく理解しておくと、いざAIを業務に導入するとなった時に、戸惑うことなくスムーズに進めることができるのではないでしょうか。

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