2024年10月3日
AIとIoTの違いと関係性とは?それぞれの意味や役割、効率的に活用するための注意点について
技術の進化により、多くの企業が導入を進めているAIやIoT。両者にはそれぞれ意味や役割に違いがあるのですが、近年では、このAIとIoTを組み合わせて使うことも多いため、違いが分かりにくくなり混同してしまっている…というケースも少なくありません。
そこで今回は、AIとIoTそれぞれの定義や特徴をまとめるとともに、両者の違いおよび関係性について解説していきます。これからAIやIoTの技術を業務に導入していこうとお考えの方に向けて、導入時の注意点もまとめていますので、参考にご覧ください。
目次
AI(Artificial Intelligence)とは
AIとは、“Artificial Intelligence”の略で、日本語では「人工知能」と訳されています。
近年、皆さんもよく耳にする言葉だとは思いますが、実はこの「AI」という言葉については時代や研究者ごとに見解が異なるため、明確な定義があるわけではありません。ただ、広く一般的には、“人間が持つ知能・知性を人工的に再現したシステムや技術”を指す際に使われていることが多いようです。
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AIの種類と用途
AIは用途に焦点を当てて分けると、「特化型」と「汎用型」の2種類に分類することができます。
「特化型」は、その名の通りある一つの作業に特化したAIのことで、近年、オフィスや工場などで広く活用されているのが、この特化型のAIです。代表的な技術の種類としては、画像認識や音声認識、予測分析や異常検知などが挙げられます。
一方、「汎用型」のAIは、特化型AIのように特定の作業を対象とするのではなく、人間と同様に自ら学習して考えながらさまざまな課題を処理するAIのことを指しています。ただし、現時点ではまだ実用化できるレベルには至っておらず、それらを実現するために日々研究が進められています。
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IoT(Internet of Things)とは
IoT(アイオーティー)とは、”Internet of Things”の頭文字を取った言葉で、日本語では「モノのインターネット」と訳されています。
具体的には、パソコンやスマートフォンをはじめ、カメラやスピーカー、家電製品や自動車など、エッジデバイスと呼ばれる機器同士をインターネット経由で接続して相互にデータを送信することで、情報伝達や遠隔操作を可能とした仕組みのことを指します。
IoTの仕組みでできること
IoTの仕組みを活用してエッジデバイスをインターネット経由で繋げることによって、下記のような機能を持たせることが可能です。
【遠隔操作】
- エアコン・照明器具などの家電をスマートフォンで操作する
- 工場でのロボット制御を行う
- 全国に設置した設備・機器を本部で一括制御する …など
【動き・状態の検知・把握】
- 防犯カメラを設置して犯罪や異常がないかを監視する
- 外出先から自宅のペットの様子を確認する
- 店舗の来店客の人数や動線を把握する …など
【データの共有】
- 誰かが入室したのをセンサーが感知して部屋の照明やエアコンをつける
- 温度センサーに反応してエアコンが自動で温度調整を行う
- (自動運転)周りの状況を把握して車の速度を調整する …など
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AIとIoTの違い・関係性は?
AIとIoT は一緒に組み合わせて活用されることも多いため、その違いが分かりにくく混同してしまう…という方も少なくないようですが、それぞれの役割には明確な違いがあります。
AIは、もともと人間の脳の仕組みをコンピューターで再現した人工的な知能のこと。それに対して、IoTはモノのインターネットを呼ばれる仕組みのことを指します。ですので、AIとIoTの違いや関係性について考える際には、「ソフトウェア」と「ハードウェア」という表現に置き換えると、分かりやすいかもしれません。
AIというデータを分析するソフトウェアがあっても、それ自体には形がないため、そのソフトウェアを活用するにはハードウェアが必要です。そこで登場するのがIoTの仕組みです。IoTというデータを収集する機能を持つハードウェアに、AIというデータを分析するソフトウェアを搭載することで、データの収集から分析までの仕組みが完成します。
つまり、モノのデータを集める役割を持つIoTの仕組みと、人間の代わりにデータを分析する能力を持つAIを掛け合わせて使うことで、それぞれの役割を補完し、能力を最大限に活用することができるのです。
AIとIoT の組み合わせてできること
ここまで、AIとIoTの違いや役割についてまとめてきましたが、この相互補完の関係性にあるAIとIoTを組み合わせることで、データの収集や解析などのほかにも、それを基にデータ予測や検知、機器の制御などが効率的にできるようになります。
では具体的に業務においてどのようなことに活用できるのでしょうか?ここでは、分野ごとに業務でAIとIoTを組み合わせて活用している代表的な例をまとめていきます。
製造・物流
近年、AIとIoTを積極的に活用しているのが製造業や物流業です。
製造・物流の業界では、労働力不足や技術者の減少などが深刻な課題となっていますが、AIとIoTを組み合わせることで業務の自動化が実現できるため、課題の解決策の一つとして導入が進んでいます。
- 段ボール数のカウント及び在庫・入出荷管理
- 異物の混入や傷などの外観検査
- 不良品の判別
- アナログメーターの数値確認
- 機器や設備の異常検知 …など
関連記事:「製造業におけるIoT導入のメリット・活用方法は?生産現場での活用事例をご紹介」
店舗・商業施設
商業施設や小売店などにおいても、AIとIoTの仕組みを組み合わせて活用しています。
店舗でも導入が進んでいるセルフレジはもちろん、出入り口や店内にAIカメラを設置しておくことで、来店客うち何人が入口を通過して、その内の何人がこの棚の前に来たのか、滞在時間はどれぐらいかなど、顧客行動が把握できるため、マーケティングにも活用することができます。
- タグやバーコードを読み取って会計するセルフレジ
- 来店客の人数カウントや店内での滞在時間・動線の分析
- 顧客属性(性別・年齢など)の分析
- 商品の陳列状況や欠品の検知 …など
関連記事:「AIカメラで何が分析できる?可視化された顧客行動を店舗運営に活かすには」
オフィスなどの設備管理
AIとIoTの組み合わせは、オフィスや各種施設においても活用が進んでいます。
例えば、入退室時のセキュリティに利用されている顔認証システムもその一つ。あらかじめ従業員の顔を登録しておくことで、不審者の侵入が防げるほか、人物ごとの入退室履歴や在室状況も確認することができます。
- 出入り口で登録された人物かを顔認証で判断
- 在室状況や滞在時間、滞在人数の把握
- 人感センサーや温度センサーなどによる照明や空調の調整 …など
介護・医療
近年の少子化によって介護の担い手が不足している介護・医療の分野では、AIとIoTを活用することで、負担の大きい夜間の見守り業務のほかに、スタッフ間の情報共有や引き継ぎ業務などの間接的な業務などを効率化しています。
- カメラを通して遠隔から入居者の見守り
- 転倒事故の予測・検知
- トイレの回数を把握するなど入居者の健康管理 …など
AIやIoTを業務に導入する際の注意点
近年では、幅広い分野でAIやIoTの技術の導入が進んでいますが、ただ導入すれば業務効率化や生産性向上などの効果が得られるという訳ではありません。
ここからは、AIやIoTを業務に導入する際の注意点についてまとめていきますので、自社の業務に活用できないかご検討の方はぜひ参考にご覧ください。
目的を明確化する
AIやIoTを導入する際は、まず目的を明確化することが重要です。
近年、製造業やサービス業など幅広い分野で導入が進んでいるAIやIoTですが、それらの技術はあくまでも手段の一つ。「さまざまな企業で導入している技術なら良いものなのだろう」と、目的や目標を明確にしないまま多額のコストをかけてAIやIoTの仕組みを導入したとしても、期待したような成果を得ることはできません。
ですので、
「何を解決するためにAIやIoTの仕組みが必要なのか」
「具体的な目標地点はどこなのか」
「AIやIoTでなければいけない理由はあるか」
…など、まず課題と目標を明確化させた上で、その課題を解決する手段としてAIやIoTの導入を検討することが大切です。そうすることで、導入に必要な機器や設備が洗い出せるほか、社内の意思が統一されることでスムーズに運用を行うことができるなど、導入から運用に至るまでを円滑に進めることができるでしょう。
現場の理解を深めておく
AIやIoTを導入する際には、現場の理解を深めておくことも大切です。
というのも、そもそも新しいものを取り入れる場合、中には拒否反応を示す従業員もいますし、なぜAIやIoTを導入するのか詳しい説明もなく進めてしまうと、
「システムを使用する意味が分からず誰も使わなくなった」
「そもそも機能が良く分からず使いこなせない」
「とりあえずシステムを使ってデータをまとめたが、その活かし方が分からず放置している」
…といった状況に陥ってしまい、結果的にAIやIoTを活用したシステムが形骸化してしまう可能性もあります。
ですので、AIやIoTを導入する際には、「どうして導入するのか」「何を目標とするのか」を明確化させた上で、現場全体の理解を促すために事前の説明会やシステムの勉強会を行うなど、計画的に進めて行くことが大切です。
運用面を考慮したアーキテクチャにする
AIやIoTを導入する際は、あらかじめ運用面も考慮した上で、全体のアーキテクチャを適切に設計することも大切です。
IoTにおけるアーキテクチャ(architecture)とは、希望や要件などに合わせて最適なシステムを構成するための設計方法や構造、またそこに至る思想などのこと。このアーキテクチャが適切に設計できるかどうかによって、IoTシステムの効率やセキュリティが左右されるのです。
ただし、アーキテクチャを設計する際には、どれだけシステムを効率化させるかという点も重要ですが、現場が使いにくいと感じる構造になっていては長期的な運用は見込めません。ですので、IoTシステムを構築する際には、システム構築側の要件と運用面での要件のどちらも考慮し、施策ごとの目的・用途にあった最適なアーキテクチャ設計を行うようにしましょう。
100%ではないことを理解して活用する
AIやIoTを活用する際は、その精度が100%ではないことを理解した上で活用することが大切です。
AIやIoTの仕組みでは、コンピューターの高度な計算によって処理を行うため、「AIやIoTはコンピューターだから完璧」「AIは万能」などのイメージから100%間違いのない結果を出すと思われがちです。しかし実際には、誤検出や誤作動などを起こすことも少なくありません。特にAIの場合は、人間のように感情をくみ取れませんし、収集するデータや量によっては人間が思っていた結果とは異なる結果を導き出すこともあります。
確かにAIやIoTなどの仕組みを活用すれば、人の手で行うよりも高い精度で効率的に業務を行うことが可能ですが、AIの学習状況や処理内容などによって精度にバラつきが出てしまい、時には人間の能力を下回ってしまう可能性もあります。
ですので、AIやIoTの仕組みを活用する際には、いつでも100%の結果が出せるという訳ではないことを理解し、重要な判断は人間が行うなどで対応しましょう。
専門家に相談する
AIやIoTを導入・運用する際は、IoT機器や通信インフラなどの幅広い知識とスキルが必要となります。ですので、社内の人材だけでシステムの開発から運用までを行うのは、あまり現実的ではありません。
ですので、AIやIoTを導入する場合は、まずAIやIoTについて幅広い知識と経験を持つサービス事業者に相談してみるのをおすすめします。
IoTやAI専門のサービス事業者であれば、その豊富な知識と経験で、課題に合わせたシステムの提案だけでなく運用する上での注意点や円滑な進め方のアドバイスなど、導入から運用までを体系的にサポートしてくれます。さらに最近では、IoTやAIで取得したデータの分析・活用方法についてサポートしてくれるサービスもあるため、それらの外部サービスを上手く利用することで、IoT・AI活用における効果の最大化が期待できます。
もし、これからIoTやAIを活用して課題解決を目指そうとお考えの場合、自社だけで何とかするのではなく、IoTやAI専門のサービス事業者に一度問い合わせてみてはいかがでしょうか?
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