2023年07月12日
AIに欠かせない機械学習とは?機械学習の基礎知識やビジネスにおける活用例
私たちの身の回りでも当たり前となってきたAI。そのAIをビジネスの領域において上手く活用するためには「機械学習」という技術についても学んでおくことが重要です。
そこで今回の記事では、機械学習とは何かをまとめるとともに、機械学習とAIの関係性や、ビジネスにおける機械学習の具体的な活用例について分かりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
機械学習とは?AI・ディープラーニングとの関係性
「機械学習(Machine Learning)」とは、コンピューターが大量のデータを分析してパターンや傾向を学習し、そのアルゴリズムに則って予測や判断を行う技術のことです。
この機械学習は、AI(人工知能)を構成する技術の一つという位置付けとなっており、映像や音声などの大量のデータから一定のルールやパターンなどの傾向を見つけ出すことで、自動的に特定のタスクを行うことができるようになります。
またAI技術について語る際に、機械学習と並んで出てくるのが「ディープラーニング(深層学習)」です。ディープラーニングとは、人間の脳の神経細胞(ニューロン)の構造を模して作られたニューラルネットワークをベースにして作られたシステムで、従来の機械学習よりも高い精度で処理を行うことができるのが特徴です。
尚、このディープラーニングは、機械学習における学習方法の一つと言う位置付けとなっており、AI・機械学習・ディープラーニングの関係性を分かりやすくまとめると、「AI>機械学習>ディープラーニング」となります。
AI・機械学習・ディープラーニングの関係性については、
こちらの「AI・機械学習・ディープラーニングの違いとは?AI導入するなら知っておきたい基礎知識」で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。
AIにかかせない機械学習の種類とは
AIに欠かせない機械学習の技術ですが、この機械学習には大きく3つの手法があります。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 強化学習
ここでは、機械学習のこの3種類の手法についてそれぞれ詳しくまとめていきます。
教師あり学習
「教師あり学習」とは、学習データを与える際に、その“正解”となるデータも一緒に学習させる手法で、学習データが多くなるほど処理精度が高くなるのが特徴です。
この教師あり学習の代表的なアルゴリズムには「分類」と「回帰」の2つがあり、売上予測や不正検知、画像解析などに活用されています。
教師あり学習は、基本的に人間側で正解データを与える必要があるため、正解となるデータが存在しない分野や未知の事象には対応できず、正解データを用意する人間を超える知能を持つこともありません。また、正解となるデータの質が処理精度に大きく影響してしまうという面もあります。
教師なし学習
教師あり学習とは違って「教師なし学習」とは、人間が正解となるデータを与えなくとも、AI自身がデータ分析しながら規則性や法則性などを見つけ出して学習する手法です。
この教師なし学習の代表的な手法には、類似しているものをグループ分けする「クラスタリング」やデータを要約する「次元削減」などがあります。主に、正解がない分野や人間が思いつかない未知のパターンを見つけ出す際などに利用することができるため、ECサイトでのレコメンドやターゲットマーケティングなどで活用されています。
強化学習
「強化学習」とは、与えられたデータをベースにしてAI自らが試行錯誤を繰り返し、データの価値を最大化する学習手法です。
この強化学習は、教師あり学習のように人に与えられたデータを学習して答えを導き出すのではなく、結果ごとに報酬を設定し、どうすればその報酬が最大化するのかを、AI自身が何度も繰り返して精度を上げていきます。
強化学習は既にボードゲームやロボット制御などでも活用されていますが、囲碁や将棋の世界ではプロを超えることもあり、近年では大きな注目を浴びています。
機械学習で何ができるのか
機械学習には大きく3つの学習手法があることが分かりましたが、実際にどんなことができるのでしょうか?
ここからは、機械学習でできることとは何なのか、代表的な手法について解説していきます。
回帰
「回帰」は、教師あり学習の一つとなっており、過去のデータから数値を予測するなど、回答が数値であるものを扱う際に使用します。
主に連続している数値データを用いて予測することを得意としており、過去から現在に至るまでのデータを学習することによって店舗売上や商品需要を予測したり、通常のデータから外れる数値を発見するなどで異常・不正検知に利用されたりしています。
分類
「分類」も、前述の回帰とともに教師あり学習の一つ。
例えば、犬と猫の2種類の画像がある場合、それぞれに離散値と呼ばれる数値を付け、読み込まれる画像の特徴がどちらに近いかを判断して分けるなど、該当データがどのカテゴリに属するのかを予測する際に使用します。
この分類と呼ばれる手法にも種類があり、上記の例のように属性によって2種類に分類する「二項分類」と、複数のカテゴリに分類する「多クラス分類」があります。
クラスタリング
「クラスタリング」は、データの類似度によってグループ分けしていくのが特徴です。
グループに分けていく点では前述の「分類」と似ていますが、「分類」は教師あり学習の一つとなっており、どのグループに分けるのが正解かという模範解答を学習した上で、読み込んだデータを分類していきます。
それに対して「クラスタリング」は教師なし学習の一つとなっており、正解となるデータを与えずにAI自身がデータを基に学習してグループ分けを行う点に違いがあります。
次元削減
次元削減とは、教師なし学習の一つで、その名の通りデータにおける次元数を減らすことを指します。もう少し分かりやすく言うと、情報量の多いデータを圧縮して内容を要約する手法となります。
この次元削減では、データ量の圧縮や処理の高速化を目的に利用されることがあり、容量の多い多次元データの情報を保ったまま低次元データに圧縮することで、データ量を節約して処理を高速化することが可能となります。
また、データを可視化する際にも使用され、元のデータを低次元化することで、複雑なデータでも大まかな傾向や特徴だけを抜き出して分かりやすくすることもできます。
レコメンデーション
レコメンデーションとは、対象の人物に対して有益だと思われる情報を個別におすすめする手法です。教師あり学習・教師なし学習ともに使われている手法で、過去のデータの中から傾向を見つけ出し、対象者のニーズに合った情報を提供する際に利用されています。
このレコメンデーションの仕組みは、よくECサイトなどで利用されているので、皆さんもご存じかもしれません。例えば、商品ページに「この商品を購入した方は○○も見ています」と表示されていることがありますが、これらは購入履歴や閲覧履歴の情報からおすすめ商品を選定しているものとなっています。
異常検知
異常検知とは、通常の動作から外れている値を検知・推測する手法です。収集された情報から傾向や規則性を見つけ出すデータマイニングと呼ばれる技術を利用して、パターンに当てはまらない動作を識別します。
システムや機械の故障を検知したり、クレジットカードの不正利用を検知したりするなどで利用されることも多く、「故障検知」や「不正検知」などと呼ばれることもあります。
ビジネスにおけるAI・機械学習の活用事例とは
ここまで機械学習でできることとは何かについて解説してきましたが、実際に私たちの身の回りでは、どのように活用されているのでしょうか?
ここからは、ビジネスや日常生活においてどのように活用されているのか、機械学習の活用例についてご紹介します。
売上・需要の予測
ビジネスにおける機械学習の代表的な活用法に、売上や需要予測があります。
売上や需要予測をする際には、前述の“回帰”を利用して市場の動きや過去の売上データなどの膨大なデータから傾向や規則性を見つけ出し、将来的な値を予測します。あらかじめ売上や需要を予測しておくことによって、受発注の効率化や在庫ロスの軽減を狙うだけでなく、販売機会の損失防止やマーケティングの効率化などの効果が期待できます。
異常や故障、不正の検知
迷惑メールを検知して自動的にフォルダ分けしたり、クレジットカードの不正利用を検知したりするなども、機械学習の活用例の一つです。
また機械学習の技術は、製造工場などでは機械の異常や故障などを自動で検知したり、不良品を検出したりするなどでも活用されています。さらに医療分野においては、疾患を早期発見するためにも活用されたりするなど、幅広い分野で異常や不正を発見するのに機械学習の技術が活用されています。
自動運転
機械学習の活用例の一つには、車の自動運転もあります。
信号機があれば減速・停止する、他の車両や歩行者・落下物などを避ける…等、自動運転の分野でも走行中に起こり得る多様な状況を認識する際にも、機械学習の仕組みが活用されています。
商品やサービスのレコメンド
皆さんも生活の中でよく目にするのがレコメンド機能かもしれません。
先程少し触れましたが、ECサイトなどの閲覧履歴や購入履歴のデータを分析して、個々の好みに合わせた商品やサービスをおすすめしたり、SNSや動画サイトで閲覧履歴と特徴の近い投稿をおすすめしたりするのも機械学習の活用方法の一つとなっています。
検索エンジン
機械学習は、Web上の検索エンジンでも活用されています。
例えば、検索エンジンでユーザーが検索したい単語の漢字やスペルを間違えて入力したとします。そのような場合でも機械学習の仕組みを使えば、正しい単語を予測して「○○で検索しています/△△で再検索しますか?」など、ユーザーの求めるページを的確に表示します。
Web広告
Web広告の分野でも、機械学習の仕組みが活用されています。
例えばリスティング広告では、キーワードの選定に手間がかかるだけでなく、成果によってクリック単価やセグメントの調整を日々行う必要があるため、非常に労力がかかるのですが、機械学習を活用して広告配信を自動化することで、時間を短縮することができるだけでなく、データを分析することで効率的に成果を上げることが可能となります。
AI・機械学習を活用してビジネスを効率化!
機械学習とは、ディープラーニングとともにAIを構成するために欠かせない技術です。
既にビジネスシーンにおいても幅広い分野でAIが活用されており、今後に関しても多くの企業がAI導入を進めて行くことが見込まれています。
AIを導入することで、自社の業務を効率化させたり人件費が削減できたりと多くのメリットがありますが、それだけではなく、これまでなかった新たな市場価値を見出したり、競合他社との差別化を図るために活用することができたりするなど、ビジネスの可能性がより広がる可能性もあります。
もし「もっと業務を効率化したい」「見えない課題を可視化して業務を改善したい」・・・などお悩みの場合は、ぜひ一度、AIの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
AIカメラの導入ならパナソニック発のVieurekaにご相談を!
パナソニックの研究開発部門から発足した私たちVieureka(ビューレカ)は、「世界の今をデータ化する新たな社会インフラを創造」をミッションに掲げ、開発・導入・運用などのハードルを下げるプラットフォームを提供しています。
高性能なCPUを内蔵したエッジデバイス「Vieurekaカメラ」をはじめ、これまで取得できなかった情報をデータ化して活用する「Vieurekaプラットフォーム」や顧客行動や商品の陳列状況をデータ化する「来客分析サービス」など、お客様のご要望に沿った導入のご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。