2021年09月9日
[データ活用術]データの可視化で店舗施策の手がかりをつかむ
Vieurekaチーム
今回は、先日提供を開始した通過率分析ツールを使って実際の店舗の分析事例を紹介します。
図1は、弊社サービスを導入いただいた小売店様の店舗内の概要図です。入口からメイン通路を進むとエリア①、②、③の順に分岐しています。カメラは5つ設置してあり、来店人数、メイン通路の通過人数、メイン通路から各エリアに流入する人数をカウントしています。
図2は、5つのカメラにより得られた人数データです。
このグラフから、以下のことが分かります。
A) 入店者の約半数がメイン通路に進んでいる
B) メイン通路に進んだ人は、エリア①~③のいずれかに進んでおり、エリアに入らずに引き返した人は少ない
C) エリア①に進む人が他のエリアよりも多い
Aについては、言い換えると入店者の約半分はメイン通路へ進んでいないということになります。これは、修理やメンテナンス等のためにサービスカウンターのみを利用する人数であると考えられます。この人たちをメイン通路に誘導する何らかの施策を施すことで、3つのエリアに到達する人数を倍増できる可能性があることが分かります。
Bからは、メイン通路まで進んだ人のほとんどを各エリアにしっかり誘導できていることが分かります。
Cからは、一般的には店舗奥(エリア③)にお客様を引き込んで回遊していただくようにするのが店舗設計のセオリーですので、商品陳列などに改善の余地があることが分かります。
次に、メイン通路からエリア①~③へ進む人数の割合を進入率という基準で時系列に見てみます(図3)。
11月に一時的にエリア③への進入率が増加し、エリア①への進入率が減少しています。商品配置の変更、ポップの装飾、価格の変更などの施策があったと考えられます。大きなレイアウト変更を行うことなく、進入率が大きく変化したことがこのグラフで一目瞭然となりました。このグラフからは、さらに以下の内容を読み取れます。
11月のみエリア②よりもエリア③への進入率の方が高かった
同時にエリア①への進入率が減少していた
エリア①への進入率は減少したが、他のエリアより進入率が高い
店舗の店員さんは、11月のこのような人の流れの変化を感覚的には感じていたでしょう。その上で、このグラフを見ることにより、その肌感覚がどれぐらい合っていたのか・違っていたのか、定量的な裏付けを取ることができます。
変化の定量的な把握は、店舗施策に活かしていただくだけでなく、店員さんの日々の感覚を確認し補強していく人材育成にもお役立ていただけます。
なお今回の例では、メイン通路を通った人数を分母、各エリアの通過人数を分子とした進入率を表しましたが、分析ツールでは、分母・分子となる人数(カメラ)を自由に選択できるようにしており、任意のポイントからポイントへの通過率を可視化することができます。
提供しております分析ツールは、ご利用いただくお客様のご意見・ご要望を反映し、より使いやすいものにアップデートしていきたいと考えております。是非、お気軽にご活用いただき、お声をお寄せください。