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2021年09月2日

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[データ活用術] 店舗内の回遊、売場への到達率の分析

Vieurekaチーム

今回は某チェーンストア店舗において、特定の売場に訪れる来店客数の推移について見ていきます。具体的には、COVID-19の影響を受ける中で店舗奥のビールの冷蔵オープンケース(以下、ビール売場)に訪れる来店客数や到達率がどのように変化しているかを見ていきます。
なお、店舗奥の主通路は各売場に辿り着くための通り道となっているため往来が多くなっています。また店舗入口から一番遠い場所であるため店舗内での回遊を知る指標となります。一方、ビール売場は店舗奥の主通路からさらに一歩奥へ入った場所に配置されており、ビール買いを目的とする来店客が立ち寄る売場となっています。
このそれぞれ特性の異なる2か所(店舗奥主通路とビール売場)を比較、分析していきます。

最初は、「店舗の来店客」と「ビール売場の到達者」および「店舗奥主通路の到達者」の4~6月における月ごとの前年比のグラフ分析です。なお、来店者数・到達者数は総計であり、同じ来店客が2度訪れると2人とカウントします。
「店舗の来店客」数の推移を見ると、4月には前年比150%と大きく伸長し6月に108%とようやく落ち着きを取り戻していることがわかります。
同様に「ビール売場の到達者」の推移を見ると、4月は来店者数と同程度の伸び率を示しており、5月、6月においても前年を大きく上回った伸び率を示しています。
一方で、「店舗奥主通路の到達者」は、他の2か所と比較すると伸び率が小さい傾向にあります。

さらに、「ビール売場」、「店舗奥主通路」への到達率を見てみます。「ビール売場」では4月は昨年と同程度の到達率ですが、5月と6月は約4ポイント増えています。一方で「店舗奥主通路」への到達率は4月に約14ポイント程度下がっており、5月と6月もそれぞれ約5ポイント、約7ポイント下がっています。

この結果から、特に緊急事態宣言が発令された4月は店内を回遊せず必要なものを購入してお店を出るといった、目的買いの傾向が強かった様子を窺い知ることが出来ます。その中でも上記グラフ分析によると、「ビール売場」の到達率が2019年と比較して2020年の方が堅調に高く推移していることから、家飲みによる需要が高くなったことが推察され、ビールは”必要なもの”であることがわかります。5月以降も「店舗奥主通路」への到達率は低く、翻って「ビール売場」への到達率が高い、という傾向が続きます。
このような時期においては、来店客が店舗内を回遊して滞在時間を長くするような施策よりも、敢えて店舗入口近くに必要とされるカテゴリーの商品数を増やして陳列することで、運営効率の向上や店舗内の密防止を見込めるかもしれません。

一般的には、店舗内の回遊状況や、売場への到達度(コンバージョン)の分析のためにお客様個人の動きを追おうとしますが、現在の技術では難易度が高く、システムコストも上がってしまい、何よりも膨大なデータを分析しきれないという運用的な課題にも直面することになります。
一方で今回のように来店客データを統計的に分析することで、”回遊”や”コンバージョン”の全体的な傾向を掴むことができることをおわかりいただけたと思います。
さらに、「人流モニタリング」機能を用いると、来店客の回遊状況を視覚的に捉えることができますので、次回以降、それを活用した分析についても紹介していきます。