2021年09月2日
[データ活用術]小売チェーン8店舗の来店人数を比較してみました
Vieurekaチーム
来店人数をカウントするために、ある小売りチェーン様の複数の店舗入口にカメラを設置しています。今回はその中の8店舗の来店人数のデータを見ながら、同じデータであっても見方を変えることで新たな発見を生むことを紹介します。
対象期間は21年1月25日から6月27日の約5カ月(22週)分です。
<週ごとの来店人数>
はじめに週ごとの1日あたりの平均来店人数を見てみます(図1)。3/22週とゴールデンウィークの週に来店人数が増える傾向が見て取れます。また、店舗間の来店人数の大小関係に大きな変化は無いですが、5月頃から中間の5店舗の来店人数がさらに拮抗してきたことがわかります。
図1から上述のような事象も見えてきますが、これだけだと大切な事象を見逃しています。
そこで、各店舗の1/25週の来店人数を基準(100%)として、基準に対する比率で表現してみます(図2)。図1と異なり、全ての店舗において1/25週が100%となります。
店舗Aは6月に入って120%強と伸び率が一番高く集客力が強くなっていることがわかります。図1だけを見ると「相変わらず店舗Aだけ集客力が低い」という印象を受けるかもしれませんが、実は店舗Aが一番伸びているわけです。
一方で、店舗Eの伸び率が低く(100%程度で推移)、8店舗の中で、店舗Eを注視する必要があることがわかります(と言っても100%の横ばいを確保していますので本当に課題があるかは定かではありません)。
店舗Hの3月の伸びと店舗Aの4月の伸びについても、実際の出来事や施策と絡めて考察できると面白いでしょう。
なお、今回のグラフはMicrosoft社のExcelのピボットテーブル、ピボットグラフの機能を使って作成しました。図2のグラフは、「計算の種類」で「基準値に対する比率」を選択するだけでワンクリックでとても簡単に作成できます。
<時間帯ごとの来店人数>
次に時間帯ごとの平均来店人数を見てみます(図3)。当然のことながら図1と同じような大小関係になっていますが、この図から読み取れることは多くありません。
そこで先ほどと同様に、9時の来店人数を基準として、基準に対する比率で表現してみます(図4)。そうすると、17時くらいまで来店人数の変動が少ない店舗と17時台をピークに増えていく店舗に二分されることがわかります。このような特性の違いがありますので、店舗特性に合わせて納品、品出しや人員配置の運用を変えることで店舗オペレーションを改善できそうです。
このように実際の人数だけでなく基準に対する比率を見ることで、時間推移が見やすくなったり、規模の異なる店舗間を比較し特性を炙り出しやすくなる、ということを説明しました。また、複数(のカメラ)のデータがあるほうが比較対象との相対評価ができて、分析しやすいこともわかります。(例えば、自分のテストの結果が70点だった時に、平均点がわからなければ、評価のしようがないのと同じ話です)。
このように同じデータであっても見方を変えることで新たな発見を生むことができるのがデータ分析の面白さですね。