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2024年01月9日

  • コラム

画像認識の歴史の始まりとは?技術が発展した理由や現代における活用シーンについて解説

画像認識の歴史の始まりとは?技術が発展した理由や現代における活用シーンについて解説

近年では、製造工場以外にもスマートフォンやパソコンの顔認証や車の自動運転など、幅広い分野で活躍を見せる画像認識の技術。特に、AI(人工知能)にとって欠かせない技術ともなっている画像認識ですが、その歴史はいつから始まったのでしょうか?

そこで今回は、画像認識の発展の歴史や進化の理由をまとめるとともに、現代においてどのようなシーンで活用されているのかを分かりやすく解説していきます。

画像認識とは

画像認識とは、コンピューターがカメラで撮影した画像や映像に何が写っているのかを解析し、その結果をもとに様々な判断を行う一連のシステムのことを指します。

例えば、私たち人間が画像を見て「これはリンゴ」「これは猫」などと判断する場合、その形状や大きさ・質感などを過去の経験から得た知識と照らし合わせて、それが何なのかを特定しています。画像認識では、この人間の脳が自然と行っている一連の処理と同様の処理をAI(人工知能)が行うことによって、「画像内の対象物が何であるのか」「対象物がどういう状態なのか」などを機械的に判別しています。

近年では、デジタル機器やAI技術の進化によって、コンピューターが人間と同等レベルで画像認識を行うことができるようになっており、既にビジネスシーンにおいても幅広い分野・業種で画像認識技術の導入が進んでいます。

画像認識については、こちらの「AIカメラに欠かせない画像認識技術とは?その種類や画像処理の仕組み」で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

始まりはバーコード?画像認識の歴史

始まりはバーコード?画像認識の歴史

現代においては、幅広い分野で活用が進んでいる画像認識ですが、その歴史はいつから始まったのでしょうか?
ここからは、画像認識の歴史や変遷について、年代ごとに分かりやすくまとめていきます。

1940年代に画像認識の原点「バーコード」が登場

画像認識の歴史は、1940年代に発明された「バーコード」から始まったとされています。

バーコードとは、バーとスペースの組み合わせによって数字や文字を読み取る技術のこと。1960年代からアメリカで実用化が始まり、現在でも広く一般的に使われているため、皆さんも馴染み深いものだとは思います。

シンプルながらもそのパターンによって情報を認識させるバーコードは、立派な画像認識の一つであり、今なお進化を続ける画像認識技術の原点となっています。

1980年代にパソコンが登場

1980年代に入ると、パーソナルコンピューターの登場によって画像認識の歴史が一気に進みます。

パーソナルコンピューターが大学や企業の研究室などに普及した結果、画像認識の研究が広く行われるようになり、画像認識に用いられる画像処理に特化したプロセッサ(演算装置)や様々な画像処理アルゴリズムが開発されるなど、画像認識の技術が急発展するきっかけとなりました。

1990年代には画像認識ソフトが普及

画像認識の技術がさらに広まっていったのは、パソコンが一般家庭にまで普及し始めた1990年代に入ってから。

パソコンが広く普及したことにより、画像認識専用のソフトウェアやハードウェアの開発が進み、製造業や運輸・倉庫業など、産業分野においても幅広く活用されるようになっていきました。

1990年代後半~2000年代にデジタル機器の技術革新

そして、1990年代後半から2000年代にかけて、デジタルカメラに代表されるデジタル機器の性能が向上したことによって画像認識の精度が向上。

さらに、画像認識に用いる計算機の進化によって、高速でデータ処理が行えるようになり、画像認識の技術はますます発展していくことになります。

2000年代以降、機械学習によって画像認識が進化

2000年代以降、画像認識を大きく躍進させたのが機械学習です。

計算機の進化によってデータ処理が高速化したことで、機械学習による大量の画像データ処理が可能となり、それまで人の手によってモデル構築していた画像認識の手法が、機械学習によってパターンを認識する手法へと変化していきました。

2010年代以降、ディープラーニングの登場

画像認識の歴史が大きく動き出したのが、2012年の「ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)」と呼ばれる画像認識の精度を競う大会です。

カナダ・トロント大学のチームが、このILSVRCと呼ばれる大会で画像認識にディープラーニング(深層学習)を使って圧勝したことにより、ディープラーニングの成功例として世界中から注目が集まりました。

これまで精度の問題で活用にまで至っていなかったディープラーニングが、実際に活用できるレベルになったことによって画像認識の精度が飛躍的に向上。今なお、進化を遂げています。

画像認識が飛躍的に進化した理由とは?

画像認識が飛躍的に進化した理由とは?

ここまで画像認識の歴史についてまとめてきましたが、この歴史の中で画像認識の技術が大きく発展したのには、下記のようにいくつかの要因があります。

  • ディープラーニングの進化
  • 高性能デバイスの普及
  • GPUやクラウドの進化
  • ビッグデータが取得しやすくなった
  • 画像認識を使ったスマートフォンアプリの進化…など

中でも、やはりディープラーニングの進化は画像認識の進化を語る上では欠かせません。

ディープラーニングには「学習」と「推論」があり、「学習」では、あらかじめ大量のデータを集め、コンピューターに勉強させて学習モデルを作ります。そして「推論」では、その学習モデルを使い、入力された画像から対象物を認識・検出していきます。

この「学習」と呼ばれる処理の進化には、GPU(画像処理装置)やクラウドの進化が寄与しています。GPUが進化したことによって、従来であれば数日間かかっていた処理が数時間で終わるように。さらにこれまで高性能GPUを搭載したパソコンの購入に多額の予算をかけていたのが、必要な時だけクラウド上のGPUを利用することで予算的にも処理が行いやすい環境となったのです。

それに対して、「推論」の進化には高性能デバイスの普及・進化が寄与しています。AIカメラを含むデバイスが高性能化したことで撮影できる画素数が増大し、「推論」の精度が向上しました。

スマートフォンやタブレットなど、様々なものに高性能なカメラが搭載されるようになったこと、さらに、インターネットを通じて画像の送受信が容易になったことで、ディープラーニングに用いる学習用データが取得しやすい環境となるなど、様々な要因によってAIを用いた画像認識が飛躍的に進化したのです。

現代において画像認識が活用されているシーン

現代において画像認識が活用されているシーン

歴史の中で様々な進化を遂げてきた画像認識の技術ですが、現代においては、どのようなシーンで活用されているのでしょうか?

ここからは、数ある画像認識の活用方法の中で代表的なものをいくつかご紹介します。

顔認証

顔認証とは、目や鼻、口などの位置や大きさ、輪郭、特徴などをもとに、あらかじめ登録しておいた人物の顔を判別する技術のこと。近年では、スマートフォンやパソコンのセキュリティとしても活用されているので、皆さんも馴染み深いのではないでしょうか?

この顔認証をオフィスや研究所などの出入り口に導入することで、「誰が入室したか」「どのぐらい滞在しているか」のほか、「誰が在室中なのか」などもリアルタイムで確認可能。また、画像で人物を判別する仕組みであるためICカードでタッチするなどの接触の必要がなくなり、ハンズフリーで出入り口を通過することも可能に。さらに、AIによって人の顔を判別することで他人へのなりすましが困難となるため、人の目によるチェックよりも安定した精度で効率的に入退室管理を行うことができます。

不良品の検知

製造業などでは、工場などにおける検品作業に画像認識の技術を活用しています。

これまで検品作業と言えば、目視での作業が一般的でしたが、あらかじめ良品・不良品とされる製品データを学習させたAIカメラを製造ラインに設置することで、微細な欠陥や傷などのある製品を自動的に検知することが可能となっています。

画像認識の技術によって、不良品の検出のほか、パッケージに付着しているゴミなどの異物を検出する外観検査も可能であるため、近年では工場の自動化(FA:ファクトリーオートメーション)などでも活躍しています。

在庫管理・仕分け作業

工場や倉庫における在庫管理や荷物の仕分け作業の業務においても画像認識技術が活用されています。

例えば、工場や倉庫などの場合、画像認識の技術を用いて商品や段ボール箱の数をカウントすることで、在庫管理を自動化することができます。また荷物の仕分けや出荷作業を自動化することで、ピッキングミスや誤出荷などのヒューマンエラーを防ぐこともできます。

車の自動運転

画像認識は、近年注目されている車の自動運転においても欠かせない技術となっています。

例えば、画像認識の技術で周囲の車や歩行者、道路標識や信号・白線などを判別することで、危険を予測しながら安全に車を走行させることができます。

体調不良や眠気などに判断が影響されやすい人間とは異なり、AIが安定した精度で周りの状況を認識・最適な動作を判断することで事故防止や渋滞の緩和などが期待されています。

農作物の育成管理

農業の分野においても、画像認識の活用が始まっています。

近年では、AIカメラで撮影した農作物の画像を解析することで、その作物の成熟度や糖度などの判別が可能となっています。さらにIoT機器と連携し、農作物の状態に応じて温度調整や農薬散布を行ったりすることなどもできるため、今後、品質管理の自動化だけでなく収穫時期や出荷量の予測など、画像認識の技術は農業の分野においても活躍が期待されています。

医療施設における画像診断

医療の分野では、画像認識の技術を画像診断に活用し、病気の早期発見に努めています。

例えば、診断の際にはレントゲン写真やCT・MRIなどの医療用画像を使うことが多々ありますが、これまでは担当医師の経験や知識に基づいて病気かどうかを判断していたため、診断の精度がバラついてしまうのが課題の一つとなっていました。

しかし画像認識を活用し、AIが病気の疑いがある箇所を自動的に抽出することで医師の診断をサポートすることができるため、将来的にはどの医師でも、安定した精度で病気の早期発見ができるようになるのではと期待されています。

なお、画像認識の技術でできることについては、こちらの「画像解析でできることとは?具体的な活用シーンやビジネスでの導入事例」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

歴史の中で大きく進化を遂げた画像認識

歴史の中で大きく進化を遂げた画像認識

一昔前の画像認識と言えば、防犯・監視カメラなどで、本来は人がいないはずの場所・立ち入ってはいけない場所に人が来たかどうかなど、不審者の侵入を検知するというセキュリティ用途で搭載されている仕組みでしたが、実際には、デバイスの性能や処理精度が要因となり、設置はしているものの画像認識の技術が十分に活かされていないというのが実情でした。

しかし、歴史を辿る中で大きく進化を遂げた画像認識の技術は、今や店舗マーケティングや工場の作業効率化、介護施設における見守りなど、セキュリティ用途以外にも存分にその能力を発揮する場が増加しています。

もし皆様の中でも、

「自社のビジネスに画像認識を取り入れて、作業が効率化できないか」
「画像認識を使って新たなビジネスが開拓できないか」

…などお考えの方がいらっしゃる場合は、ぜひ一度、画像認識の専門家にご相談ください。私たちVieureka(ビューレカ)のサービスなら、皆さまのビジネスの明日を変えるお手伝いができるかもしれません。

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