HOME > ブログ > 来客分析サービス > [データ活用術] 店舗における人流モニタリング機能の活用事例

2021年09月2日

  • データ活用
  • 来客分析サービス

[データ活用術] 店舗における人流モニタリング機能の活用事例

店内通路の通過状況や酒売場の立寄り状況を動線描画機能で視覚的に評価分析を実施


Vieurekaチーム

今回は、人流モニタリング機能の活用例をご紹介します。本機能は来店客ごとの動線データ(軌跡)を描画した画像を提供します。

<図1>

ある店舗の主通路(※1)の様子を見てみます。<図1>の画像右上が店舗入口に近く、来店客は左下に向かって店舗奥へ進みます。
軌跡の大多数は直線に近い形状です。このことから来店客の多くがこの売場を素通りし、店舗の奥に向かっていることがわかります。
また、軌跡の大多数が主通路の左側を歩いていることがわかります。
一般的に主通路沿いの壁面棚を第1マグネット売場(※2)、エンド棚を第3マグネット売場として来店客を惹きつける売場づくりを行いますが、壁面の第1マグネット売場に来店客を呼び込めていない為、残念ながらその効果が限定的であることがわかります。

<図2>

次に第2マグネット売場である主通路奥の突き当りの様子を見てみます。先ほどの売場と明らかに異なり、軌跡がクネクネとした形状になっており、それが主通路の幅全体に広がっています。来店客が長く留まり商品を物色していることを示しており、来店客を惹きつける売り場づくりができていることがわかります。
つまりこの店舗は店舗奥に来店客を引き込むことができているので、その途中の主通路沿いの売場を工夫することで売上向上が見込めると考えられます。

<図3>

続いて冷蔵ショーケースの酒類売場を見てみます。向かって左の棚は商品単価の安い新ジャンル、右の棚に商品単価の高いビールが陳列されています。
左の棚では各軌跡が糸の塊のようになっていることから、来店客が商品を物色し滞在時間が長い様子がわかります。
このことから、商品単価が安く新商品の投入の多い新ジャンルは複数の商品を吟味して購入されることが多く、ビールは指名買いが多いと推測されます。
このような来店客の売場での詳細な動きは、POSデータや、来店客の各売場における位置特定が難しい無線技術による売場調査システムでは取得できませんので、画像認識技術による売場調査の大きな特長と言えるでしょう。

人数カウントや属性比率などの数値データは”前年比何%増減”というような長期間の定量分析に適していますが、生データから読み取ることの出来ない機微の情報が抜け落ちることがあります。一方で、人流モニタリング機能による視覚的なデータは定量評価には向きませんが、その売場の傾向を直感的に捉えるのに非常に適していますし、来店客の動きを画像上でより詳細に把握することができます。例えば、店舗運営におけるレイアウト改善や、商品の仕入先も含めた売場における施策の検討などに有効的に活用いただくことが出来ます。
数値データ、視覚的なデータにはそれぞれメリット、デメリットがありますので、視覚的なデータで全体的な傾向を押さえ、数値データで定量的な裏付けを行う、など適宜使い分けることでより意味のあるデータ分析が可能となると考えています。

※1 主通路:最も来店客の通りが多いメインの通路。
※2 マグネット売場:店舗内で来店客に回遊いただくために配置される来店客を惹きつける売場。場所や役割によって第1~第4まで分類されます。