2021年09月2日
[データ活用術] 売場への到達人数・到達率とPI値について
Vieurekaチーム
今回は売場への到達人数・到達率とPI値について考察します。
PI値については詳しく解説しているWEBサイトも多数ありますので、詳細は割愛しますが、Purchase Indexの略で、顧客1,000人あたりの購買指数(購買数や購買金額)のことで、小売業界で重要視されている指標です。
一般的には、レジ通過客数(レシート枚数)を上記における顧客数とします。これは購買指数の実態を示しているのでしょうか?購買指数の実態を知るには、レジ通過客数だけではなく、該当商品の売場に到達した顧客数に着目する必要があります。
図1はある店舗Aと店舗Bの1日当たりの来店人数(棒グラフ、※1)、日用品売場へのそれぞれの1日当たりの到達人数(棒グラフ)、各売場への到達率(折線グラフ、※2)の過去3.5カ月分の週次データになります。
表1は過去3.5カ月分の全体の平均値です。
※1:この記事では、レジ通過客数≒来店人数 とします
※2:この記事では、到達率=到達人数÷来店人数x100 とします
この図と表の上段からわかることは、店舗Bのほうが店舗としての集客力はあるが、売場への到達人数は店舗Aのほうが多いという事実です。到達率で見ると、店舗Aは3人に1人が到達し、店舗Bでは4人に1人と大きな差があります。
続いてPI値に着目します。今回はPOSデータを入手できなかったため、2つの仮定を置きました。
- 来店人数とレジ通過人数が等しい
- 両店舗とも1日当たりの購買数が1,500コであった
レジ通過客数PI値=購買数÷来店人数x1,000であり、表1の通り、店舗Aのほうが高い数値となります。
ここで到達人数PI値を定義します。到達した顧客1,000人あたりの購買指数であり、
到達人数PI値=購買数÷到達人数x1,000 とします。本例では図2下段のように店舗Bのほうが高い数値となります。
一般的なレジ通過客数PI値だけを分析に利用している場合、このようなことが起きます。
エリアマネージャー
「店舗Aの日用品の購買指数が高い。店舗Bも店舗Aと同じような日用品の売場づくりをしなさい」
部下
「はい、わかりました!」
数か月後、
エリアマネージャー
「おかしいな、店舗Bの日用品の購買指数が下がってきたぞ、なんでだろう… (T_T)」
一方で、到達人数PI値を分析に利用している場合は、以下のようになります。
エリアマネージャー
「店舗Aの購買指数が高い。店舗Bも店舗Aと同じような売り場づくりをしなさい」
部下
「いえ、一見、店舗Aの購買指数が高いように見えますが、実は日用品売場に来てくれたお客様の数が違いまして、到達人数PI値を比較すると店舗Bのほうが高いです。つまり店舗Bの日用品売場のほうがお客様に魅力をアピールできています! 一方で、店舗Aでは、いい立地に売場があります!」
エリアマネージャー
「なるほど、店単位ではなく、売場単位で購買指数を見ると見方が変わってくるな」
部下
「はい! ですので、打つべき手は、以下の通りです。店舗Aは店舗Bの日用品売場を参考にするのと、店舗への集客の改善です。店舗Bは日用品売場の立地の見直しをしましょう」
エリアマネージャー
「売場単位で見ると、店舗ごとに課題が異なるがわかるし、打つ手も店舗ごとに変わってくるな。よし、それを実行しよう」
部下
「はい、わかりました!」
数か月後、
エリアマネージャー
「店舗Aは売場の魅力と来店客数が改善して、店舗Bは日用品売場への到達率が向上して、両店舗とも購買数が増加したぞ (^_^)」
上記の会話は図2のように示すことができます。レジ通過客数PI値のみの場合、来店した人にどうやって購入してもらうのか、という漠然とした課題を解くことになります。到達率や到達人数PI値を導入すると、どうやって商品の前まで来てもらうか、どうやって商品に目を留めて吟味してかごに入れてもらうか、と課題を因数分解して解くことができますし、店舗間の比較もしやすくなります。
Vieurekaでは到達率の可視化ツールの開発やPOSデータも含めた分析も進めていますので、興味のある方はぜひ問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。