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2022年01月21日

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[データ運用]Vieurekaカメラの「個人情報」への対応について ~AIカメラ利用時に必ず確認しておくべきこととは?~

1.DX化で益々重要になる「個人情報」の取り扱い方

デジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進む中で、その生成されたデータの取り扱い方が大きな課題となっています。Vieurekaカメラを導入されているお客様からも、特にリスクマネジメントの観点から、データ運用における「個人情報」の取り扱いについて質問をいただくケースが非常に増えてきています。今回は、AIカメラデータ(カメラ画像、画像認識処理データなど)の「個人情報」に配慮した利活用や対応の仕方について、それに関連する法律やガイドラインを確認しながらご紹介していきます。

(執筆者の見解に基づいた記事であり、当社としての公式見解ではございません。導入の際にはお客様のプライバシーポリシーに則った運用をお願いします。)

2.法律、ガイドラインの確認

まずはAIカメラデータを利活用する上での「個人情報」の取り扱いについて、それに関連する法律やガイドラインについて確認しておきましょう。紙面も限られているため、押さえておくべき条項について一部抜粋しながら紹介します。

● 個人情報保護法第18条(第1項)

法第18条(第1項)
□1 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。

出典:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/2009_guidelines_tsusoku/#a3-2-3

個人情報を取得する場合は、あらかじめその利用目的をホームページや店舗掲示物などにより公表するか、取得後速やかに、本人に通知もしくは公表しなければなりません。よって、個人情報保護法に則った情報管理が必要となるため、AIカメラデータを利活用したサービスを検討する上で、そのデータ運用方法も含めたリスクマネジメントが必須となります。

ここに書かれている個人情報とは何を示しているのか?AIカメラデータ利活用を想定した場合の、個人情報に該当するデータ、個人情報に該当しないデータの具体例を以下に整理しておきます。

● 個人情報に該当するデータ例
① 特定の個人を識別できるカメラ画像
② 顔認識技術による人物の目、鼻、口の位置関係等の特徴を抽出したデータ(特徴量データ)

● 個人情報に該当しないデータ例
③ 顔認識技術による性別・年代等の情報(属性情報)や、人の形を判別する技術によるその数量を計測したデータ(カウントデータ)
④ カメラ画像に写った人物がどのように行動したかを示す座標値を時系列に蓄積することによって生成されたデータ(動線データ)
⑤ カメラ画像にモザイク処理等を施し、特定の個人が識別できないように加工したデータ

出典:総務省・経済産業省IoT推進コンソーシアム「カメラ画像利活用ガイドブック」より抜粋
https://www.soumu.go.jp/main_content/000542668.pdf

総務省・経済産業省のIoT推進コンソーシアムが発表した「カメラ画像利活用ガイドブック」によると、顔認識技術などによる画像認識処理済のデータについて、個人の顔の座標位置(目、鼻、口など)による特徴量データは個人情報に該当するので、その取扱いについては前述のとおり法令に遵守した対応が必要となります。一方で、性別・年代などの属性情報や、人数カウントデータ、動線(人物の位置)データについては個人が識別できないため個人情報には該当しません。
また、カメラ画像についても、モザイクやぼかし処理などの特定個人が識別できないように加工を施した物については、個人情報に該当しません。

個人情報に該当するデータを取得した場合は、当然のことながら、個人情報保護法に遵守した対応が必要となります。但し、「カメラ画像利活用ガイドブック」の4項には、その取得したデータが個人情報に該当する該当しないに関わらず、生活者からの理解を得るために配慮すべきと記載されています。
本項に定める配慮事項は「事業者に対し、その対応を強制するものではない。」とされていますが、「事業者が、カメラ画像を利活用した事業の実施にあたって、当該サービスの利用者をはじめとした生活者と適切なコミュニケーションを図り、相互理解を構築するために不可欠だと思われる要素を整理したものである。配慮事項に基づく、事業者自らによる、業界・業態に応じた利活用ルールの設定を期待するものである。」とも書かれています。少し長いですが、以下に当該項目について抜粋して紹介します。

● 4.1項 基本原則
・カメラ画像が、特定の個人の識別が可能な画像であれば、個人情報の取得にあたる。取扱いにあたっては、個人情報保護法を遵守した対応が必要である。
● 4.2項 事前告知時の配慮
・カメラ画像の撮影及び利活用を開始する場合、十分な期間をもって事前告知を行う。
・告知は、撮影対象場所における物理的な方法(ポスターの掲示やパンフレットの配布等)もしくは電子的な方法(自社 HP 上でのリリース等)、あるいはその両方を組み合わせた方法によって行う。
・具体的な告知内容・告知方法については、生活者がその情報を得る機会が増すよう、撮影対象場所や利活用目的等を事業者が総合的に考慮し、決定する。
● 4.3項 取得時の配慮
・カメラ画像の撮影及び利活用を開始する場合、通知を行う必要がある。
・通知は、撮影対象場所における物理的な方法(ポスターの掲示やパンフレットの配布等)もしくは電子的な方法(自社 HP 上でのリリース等)、あるいはその両方を組み合わせた方法によって行う。
・具体的な通知方法・通知内容については、生活者が容易にその情報を得られるよう、撮影対象場所や利活用目的等を事業者が総合的に考慮し、決定する。
● 4.4項 取扱い時の配慮
・カメラ画像から利活用に必要となるデータを生成または抽出等した後、元となるカメラ画像は速やかに破棄する。また、生成したデータについても、個人の特定に繋がる場合は、利活用目的を達成した後、速やかに破棄する。
● 4.5項 管理時の配慮
・カメラ画像の利活用に伴って生じるリスク分析を、機器特有の状況(事前同意の取得が困難である等)を十分に鑑みて実施し、カメラ画像から生成または抽出等したデータに対して適切な安全管理対策及びセキュリティ対策を行う。

出展:総務省・経済産業省 IoT推進コンソーシアム「カメラ画像利活用ガイドブック」より抜粋
https://www.soumu.go.jp/main_content/000542668.pdf

AIカメラの店舗への導入に際しては、カメラ画像(データ)が個人情報に該当しない場合においても、店舗に来店する生活者の方々に対して十分な配慮をして、事前告知を行った上でサービス提供を行うことがサービス提供者としては望ましいと言えます。その事前告知の内容については、

  • カメラ画像(データ)利活用の目的
  • カメラ画像(データ)の内容
  • プライバシーへの配慮

このように店舗への来店客(生活者)に対してこれらの事項を具体的に分かりやすく伝えて、安心して買い物ができるように配慮することが、とても大切です。Vieurekaカメラサービスにおいても、その導入先店舗で以下のような事前告知を行なっています。

図1:カメラ画像利活用の事前告知例

3.Vieurekaカメラの個人情報への対応

Vieurekaカメラサービスの機能面における個人情報への対応についてご紹介したいと思います。Vieurekaの最も差別優位性の高い特長の一つとして、エッジコンピューティング(カメラ内の画像処理)の仕組みが確立している点が挙げられます。これにより個人が特定されないように加工されたデータや画像を安心してご利用いただくことが可能となっています。

図2:Vieurekaカメラのエッジコンピューティングの仕組み

具体的には、

  1. カメラ内で画像処理を行い、属性情報や人数カウントデータなどのメタデータをクラウドへ送信
  2. 画像をクラウドへ送信する場合は、人物消去やぼかし処理をカメラ内で実施
  3. クラウドから遠隔で、カメラ(デバイス)管理やカメラ内アプリケーションのアップデートを実施

カメラ内での画像処理を実施するための各種アプリケーション(人数カウントアプリ、性年齢推定アプリなど)やカメラデバイスの管理についてはクラウドから実施しており、先に述べたエッジ側(カメラ内)の画像処理機能と、クラウド側の管理機能の役割を分けることで、各種サービス機能の実装が実現できています。

図3:人物消去画像(左図:人流モニタリング 右図:商品棚モニタリング)
図4:ぼかし処理画像

例えば、リテール分野においてマーケティング調査を行う場合、売場の状況が把握できる画像は非常に有用ですが、前述のとおり、その画像に個人情報が含まれる場合は、法令により定められているとおり、個人への通知(もしくは公表)が必須となり、更には情報管理責任などの運用課題が足枷となり、サービスを検討する上ではその利活用が非常に困難となります。Vieurekaはカメラ内画像処理により個人情報に該当しないデータや画像を生成することで、そのような課題やリスク管理に対応した実用的なソリューションを提供しています。

4.まとめ

Vieurekaは他社に先駆けてエッジコンピューティングの仕組みを早くに確立しており、その優位性をベースにして、様々なお客様の課題に対応したサービス機能の実装およびアップデートを繰り返しながら日々進化しています。DX時代の社会ニーズやマーケットニーズに合った、サービスをどんどん創出していきますので、これからもどうぞご期待ください!