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2024年10月11日

  • コラム

IoTにおけるセキュリティ対策の課題・問題点とは?起こり得るリスクとセキュリティ対策のポイント

IoTにおけるセキュリティ対策の課題・問題点とは?起こり得るリスクとセキュリティ対策のポイント

さまざまなデバイスをネットワークで繋ぐことで、ビジネスや身の回りの生活の利便性を向上させるIoTの仕組み。しかし、その一方で、注意しなければいけないのが、インターネットを経由することで起こり得るセキュリティ問題です。

そこで今回は、IoTにおけるセキュリティ対策にはどのような問題点があるのか、セキュリティ対策の必要性と怠った場合のリスクと併せて解説していきます。また、IoTにおけるセキュリティ対策のポイントについても、わかりやすくまとめていますので、IoTにおけるセキュリティ対策にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

何が問題?IoTにおけるセキュリティの必要性

IoTとは、“モノ”同士をネットワークでつなぎ、相互にデータを送受信する仕組みのこと。エッジデバイスやIoT端末と呼ばれる機器をインターネット経由で接続することで、遠隔からでも機器の制御やデータの処理・分析などを行うことができます。

しかし、IoTに利用する機器はインターネットに接続して利用するため、サイバー攻撃の対象になってしまう可能性があるという問題を抱えています。特に近年ではIoT機器を狙った攻撃が増加しており、総務省の「情報通信白書 令和5年版」では、サイバー攻撃関連の通信数は増加傾向にあり、2022年時点では、サイバー攻撃関連が通信全体の3割を占めていると発表されるなど、IoT導入においては、早急なセキュリティ対策が求められています。

IoTにおけるセキュリティ問題|考えられるリスクは?

IoTにおけるセキュリティ問題|考えられるリスクは?

IoTの仕組みを利用する上で避けては通れないセキュリティ問題。しかし、その対策を怠ることでさまざまなリスクが考えられます。ここでは、IoT利用時に考えられる被害についてまとめていきます。

個人情報や機密情報が漏洩する

IoTのセキュリティ問題で避けて通れないのが、情報漏洩のリスクです。

IoTの仕組みでは、端末を相互にインターネットで接続してデータをやり取りするため、悪意ある第三者が機器やネットワークの脆弱性を狙って不正アクセスを行ったり、マルウェアと呼ばれる悪意のあるソフトウェアを仕込んだりすることで、収集した個人情報や企業の機密情報が抜き取られ、外部に流出してしまう可能性もあります。

このような情報漏洩リスクは、IoTの仕組みを利用する際には常につきまとうリスクの一つですので、データの暗号化やウイルス対策などを行い、定期的にセキュリティを見直す必要があります。

機器の制御が乗っ取られる

IoTのセキュリティ問題には、攻撃者がインターネットを経由して機器やシステムを乗っ取り、不正使用してしまうというリスクも考えられます。

例えば、悪意のある攻撃者に機器の制御を乗っ取られてしまうと、

  • 監視カメラの映像がネット上に公開される
  • コピー機やスキャナーで読み取った情報がネット上に流出する
  • 自動運転の車を遠隔操作する
  • 工場で不良品ばかりを生産・出荷してしまう

…などの被害が発生するリスクもゼロではありません。ですので、容易に乗っ取りが起きないように、IoT機器を利用する際には、機器認証や定期的なパスワードの更新を行うことが大切です。

他者を攻撃するための踏み台にされる

IoTにおけるセキュリティ問題には、機器の制御の乗っ取りによる不正利用がありますが、さらに、それが他者を攻撃する際の踏み台に利用されるケースもあります。

例えば、自動運転の車を遠隔操作して事故を起こす、インフラ設備を停止させる…などのテロ行為に利用されたり、多数の機器端末から一斉にアクセスをしてサーバーをダウンさせるDDoS攻撃に利用されるなどの可能性もゼロではありません。

一歩間違えば人命に関わる重大な犯罪に巻き込まれてしまうため、IoTを利用する際には、他者を攻撃するための踏み台にされないようなセキュリティ対策が必要となります。

企業イメージの失墜

ここまで、IoTにおけるセキュリティ問題には、情報漏洩や機器の乗っ取り、他者を攻撃する際の踏み台に利用されるなどがあるとお伝えしてきましたが、実際にそれらの問題を引き起こしてしまった場合、企業としての社会的信用が失墜してしまうことも忘れてはなりません。

社会的に企業の信頼度が損なわれてしまうと、信頼回復までの活動に多大なコストと時間がかかるほか、優秀な人材が集まらなくなるなど、採用・人事面にも大きな影響を及ぼします。また結果的に、それらが更なる企業価値の低下につながる可能性もゼロではありません。

そのためIoTを利用する際は、情報漏洩や機器の不正利用などの不祥事を引き起こさないように、経営者自らがリーダーシップを取り、自社のセキュリティ対策を検討する必要があります。

関連記事:「IoT機器にもセキュリティ対策が必要?セキュリティ対策の手順やポイントは?

IoTにおけるセキュリティ対策の4つの問題点

IoTにおけるセキュリティ対策の4つの問題点

業務にIoTを取り入れることで、生産性の向上や労働力不足の解消など、数多くのメリットがありますが、その一方で、セキュリティ面において課題となる点も残っています。

ここでは、セキュリティ対策における課題を理解した上でIoT導入が検討できるように、代表的な4つの問題点についてわかりやすくまとめていきます。

問題点①:数や種類が多くて管理が煩雑になる

IoTのセキュリティ対策においては、デバイスの数や種類が多く、管理が煩雑になってしまうという問題があります。

IoTの仕組みを活用する際には、IoTデバイスを複数箇所に設置するなどでデータを取得していきます。その際、人の手で管理できる程度の数であれば問題ありませんが、全国や世界規模で展開しているサービスの場合、膨大な量のデバイスを管理しなければいけません。

しかしIoTデバイスの数が増えれば増えるほど、インストールされているソフトウェアの種類やバージョン、電源のオン・オフやデータの取得状況などにバラつきが出てしまい、管理が複雑化してしまいやすいのです。

利用するIoTシステム・サービスによっては、デバイス類を一括して管理することができるデバイスマネージメント機能を提供しているサービスもあるため、多数のIoTデバイスを利用してシステムを構築する際には、あらかじめ導入後のデバイス管理についても検討しておきましょう。

問題点②:セキュリティ対策が後付けできないケースがある

セキュリティ対策が後付けできないケースがあるという点も、IoTのセキュリティ対策の課題の一つだと言えます。

例えば、パソコンであれば、使用開始後でもウイルスソフトをインストールしたりシステム設定を調整したりするといった後付けでのセキュリティ対策が可能です。しかし、IoTデバイスにおいては、その特性上、機能・リソースに限りがあることが多いため、後付けでセキュリティ対策ができない、または後から変更できない…といった仕様になっていることがあります。

ですので、IoTデバイスを利用する際は、システムの開発段階でどのようなセキュリティ対策が必要かを検討した上で組み込んでおく必要があります。また、既存のIoTサービスを利用する際にも、ネットワークだけでなくIoT機器にも十分なセキュリティ対策が施されているかを確認するなど、事前によく比較検討した上で利用するサービスを選定することが大切です。

問題点③:保守期限切れのIoT機器が残り続ける

IoTのセキュリティ対策における問題点として、保守期限切れのIoT機器が残り続けてしまうという課題もあります。

例えば、自動車であれば12~13年程度、工場の制御機器であれば10~20年程度と、IoTデバイスには製品のライフサイクルが長いものが多く存在しています。しかし、その寿命が長ければ長いほど、システム開発時には十分だったセキュリティ対策が、時とともに不足するようになってしまったり、ソフトウェアやファームウェアの保守期限が切れてしまったりということが発生するようになります。

保守期限が切れた状態のIoTデバイスを使用し続けるということは、サイバー攻撃の危険性を抱えたままの状態でネットワークに接続していることになります。そのようなセキュリティリスクを防ぐためにも、定期的に機器を交換するなど、ハードウェア・ソフトウェアの両面から保守管理を行う必要があります。

問題点④:想定外の接続が行われる可能性がある

IoTの仕組みでは、身の回りのあらゆる“モノ”をネットワークに接続して利用します。そのため、これまで接続されていなかったものがネットワークにつながることによって、想定外の影響や不具合が発生したり、使用者が開発者側で想定していない接続をしてしまうことで、未知なる脅威にさらされる可能性もあります。

ですので、IoTシステムを開発する際には、あらゆる状況を洗い出して対策を施すほか、開発メーカー側は運用開始後も注意喚起や脅威に対する情報提供などを行う必要もあります。


参考:IoT推進コンソーシアム(総務省・経済産業省)「IoTセキュリティガイドライン

問題発生を防ぐために!IoTにおけるセキュリティ対策のポイント

問題発生を防ぐために!IoTにおけるセキュリティ対策のポイント

IoTを利用する際には、ネットワーク・機器の脆弱性を狙った攻撃や認証情報を推測した攻撃など、多くの危険にさらされています。しかし、これらの攻撃は、セキュリティ機能を搭載したり、適切な管理・運用を行ったりすることで大幅に軽減することができます。

ここからは、自社の大切な情報を守るために、具体的にどのようなポイントに気を付けてセキュリティ対策を行えば良いのかについてまとめていきます。

ソフトウェア・ファームウェアをアップデートする

IoTシステムで使用するソフトウェアやファームウェアは、定期的にアップデートを行いましょう。

運用を続けていくうちに、システムのリリース時にはなかった新たな脆弱性が発生することもあります。ですので、アップデートをせずに放置したままでいると、その脆弱性を狙われて攻撃を受ける可能性が高まってしまうのです。

アップデートを行うことによってセキュリティ上の脅威を排除し、情報漏洩や不正利用などのリスクを軽減することができますので、メーカー側からソフトウェアやファームウェアの更新通知が届いた場合は、必ずアップデートを行いましょう。

機器認証を利用する

機器同士をネットワークで相互に接続するというIoTの性質上、第三者がネットワーク上のIoT機器になりすますことができないように、機器認証を設定しておくのもセキュリティ対策として有効です。

IoTのシステムで利用する機器に対して固有の識別情報を設定しておくことで、その機器自体がシステムにアクセスする際に正しい機器であるかどうかを確認することができるため、第三者による不正アクセスを防ぐことができます。

定期的にパスワードを更新する

IoTのセキュリティ対策では、定期的にパスワードを更新することも重要です。

IoTデバイスでは、製品出荷時に初期パスワードが設定されていることがありますが、運用開始時に使用者側で変更せずに利用しているケースも少なくありません。出荷時に設定されているということは、自社以外の人間がそのパスワードを把握している可能性もゼロではないということです。

ですので、利用開始時には必ずパスワードを複雑なものに変更するようにし、運用中も定期的に更新するようにしましょう。また、IoTデバイスを複数使用する場合には、同じパスワードを使い回すのも厳禁です。デバイスごとにパスワードを変えておけば、万が一どれかの機器のパスワードが外部に漏れてしまっても他の機器は守ることができるため、必ずセキュリティ対策の一つとして計画に組み込んでおきましょう。

未使用の機能はオフにする

IoTのセキュリティ対策においては、デバイスに未使用の機能がある場合はオフにしておくことも大切です。

IoTデバイスは、インターネットに接続してデータの送受信を行いますが、インターネットに接続している以上、サイバー攻撃のリスクは避けられません。特にインターネットに接続している機能が多いほど、攻撃のリスクは上がってしまいます。ですので、サイバー攻撃のリスクを軽減するためにも、不要な機能がある場合は削除、またはオフにしておくなどの対応を行いましょう。

データを暗号化する

IoTのセキュリティ対策で忘れてはならないのが、データの暗号化です。

インターネットを経由して送信するデータやIoTデバイスに保存しているデータが暗号化されていないと、外部からの不正アクセスがあった際に、簡単に情報が読み取れてしまう可能性があります。

また、データを暗号化していたとしても、脆弱性がある暗号方式が使われていたり、通信を暗号化したり復元したりする際に使われる“暗号鍵”が攻撃者に推測されやすい場所に置いてあったり…といったケースも少なくありませんので、用途やデータ内容に合わせて適切な暗号化を行いましょう。

閉域網を利用する

IoTで利用するネットワークを閉域網にするのも、有効なセキュリティ対策となります。

閉域網とは、限られたユーザーのみがアクセスできる“プライベートネットワーク”のこと。攻撃者はネットワークの脆弱性を狙ってサイバー攻撃を仕掛けてくるため、この閉域網を利用することで、第三者の不正アクセスを防ぎ、情報漏洩や機器の不正利用などのリスクを防止することができます。

セキュリティ状況を可視化する

IoTを利用する際には、セキュリティ状況を可視化しておくことも有効なセキュリティ対策となります。

複数の機器をネットワークに繋いで利用するIoTシステムでは、デバイスの数や種類が多くなればなるほど管理が複雑化しやすいという課題があります。もちろん、人が管理できる程度の数や種類であれば問題ありませんが、多くのIoTデバイスを使用する場合、ソフトウェアのバージョンやインストールしているアプリの種類など、デバイスごとの環境に差が出てきてしまうこともあります。

そうなると、デバイスを一つ一つ確認しながら最適化していくのは非常に困難なので、多数のIoTデバイスを使用する場合は、デバイスの状態やセキュリティ状況を一覧で確認することができるデバイスマネージメントツールを利用すると良いでしょう。デバイスマネージメントツールを利用することで、遠隔からでもIoT機器の状況を一括管理できるため、円滑にセキュリティリスクを軽減することが可能となります。

専門家に相談する

IoTシステムにおいて適切にセキュリティ対策を行うには、専門的な知識だけでなく、サイバー攻撃者の動向や脅威の状況など、最新の情報を追いながら対応していくスキルも必要です。

しかし、適切なセキュリティ対策を自社だけで行うのは、経験値や人材的にも難しいケースが多々あります。ですので、IoTのセキュリティ対策について検討する際は、まずIoTについて幅広い知識と経験を持つサービス事業者に相談してみるのが良いでしょう。

IoTに関する豊富な知識や経験を持つサービス事業者であれば、IoTシステムを構築する際に状況に合わせた最適なセキュリティ対策を提案してくれます。また、運用を行う上での注意点や円滑な進め方のアドバイスなどのサポートも期待できるので、IoT導入を検討されている方は、一度、専門のサービス事業者に問い合わせてみることをおすすめします。

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