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2024年09月3日

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IoTにおけるエッジコンピューティングとは?その特徴や課題について解説

IoTにおけるエッジコンピューティングとは?その特徴や課題について解説

IoT化が進むにつれて、需要が高まっているエッジコンピューティングですが、中には「そもそもエッジコンピューティングって何?」「エッジコンピューティングで何ができるのか?」と疑問に思われている方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、IoTを語る上で欠かせない技術となっているエッジコンピューティングやエッジデバイスとは何かに加えて、それらの利点や課題についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

IoTにおけるエッジコンピューティングの意味


「エッジコンピューティング」とは、分散コンピューティングと呼ばれるものの一つで、複数のIoT端末やサーバーを分散して配置し、それぞれでデータの処理を行うネットワーク技法のことを指します。

従来のクラウドコンピューティングと呼ばれる技術では、ネットワークを経由して各端末で取得した情報をクラウド上のサーバーに送信してから処理を行いますが、エッジコンピューティングでは、ネットワークの末端にある端末自体、もしくはその近くにあるサーバーで処理を行い、処理後のデータのみをクラウドに送信します。

必要なデータのみをクラウド上に送信するため、クラウドコンピューティングの課題である通信によるネットワークの負荷や処理の遅延などを軽減することが可能です。リアルタイムでの処理が必要な業務にも有用であることから、現在では、エッジコンピューティングはIoTの仕組みの一つとして、製造業や小売業、医療や介護など、幅広い分野での活用が始まっています。

IoTの仕組みに欠かせないエッジデバイス


エッジコンピューティングを実行する上で欠かせないのが「エッジデバイス」です。

「エッジ(edge)」には「端の」「末端」「ふち」という意味がありますが、IoTにおいてネットワークの末端で情報を取得する機器のことを「エッジデバイス」や「エッジ端末」などと呼んでいます。

幅広い種類のものがあるため明確な定義付けは難しいのですが、身近なエッジデバイスの例を挙げるとすると、パソコンやスマートフォンのほかに、スマートウォッチやスマートスピーカーなどがあります。他にも、製造業や小売業などでは、エッジデバイスとしてAIを搭載したカメラや温度・湿度などの情報を取得するセンサーを搭載した機器なども利用されており、このエッジデバイスはIoTの仕組みを構築する上で欠かせない存在となっています。

IoTの仕組みに欠かせないエッジデバイス

関連記事:「エッジデバイスとは?その役割と仕組みについて分かりやすく解説

IoTにおけるエッジコンピューティングの利点


IoT化が進む現代において欠かせないものとなっているエッジコンピューティングですが、具体的にどのような利点があるのでしょうか?

ここでは、代表的な5つの利点について分かりやすくまとめていきます。

通信費が抑えられる

クラウドコンピューティングでは、クラウド上のサーバーに全ての情報を集約して処理を行うため、多額の通信費がかかってしまうことがありますが、エッジデバイス上でデータ処理行うエッジコンピューティングであれば、インターネットを経由して送信するのは処理後の必要なデータのみとなるため、通信費を抑えることができます。

リアルタイムでの処理が可能

エッジコンピューティングでは、エッジデバイスで取得したデータをその端末内で処理することができるため、データの通信と処理時の遅延を軽減することができます。そのため、リアルタイムで判断が必要なケースに対応することができるのも利点の一つです。

ネットワークの負荷が軽減される

エッジデバイスで収集したデータを全てクラウドに集約するのではなく、エッジデバイス内で処理したデータのうち必要なデータのみをクラウドに送信するため、通信量が大幅に削減され、ネットワークの負荷を軽減することができます。

情報漏洩のリスクを軽減する

クラウドコンピューティングでは、データの全てをクラウド上に集約するため、情報漏洩が起こってしまった場合に全てのデータが漏洩してしまう可能性がゼロではありません。

一方、エッジコンピューティングであれば、エッジデバイス上でデータを処理してから必要なデータのみを送信するため、万が一の場合でも情報漏洩における被害を最小限に抑えることができます。

BCP対策にもなる

エッジコンピューティングは、企業のBCP対策にもなるという点も利点の一つだと言えます。

BCP対策とは、自然災害やテロ攻撃などの緊急事態が発生した際に、企業が事業の継続や早期の復旧ができるように「事業継続計画(BCP)」を立て、あらかじめ備えておくことを指します。

エッジコンピューティングを活用すれば、有事の際でもエッジデバイス単体で作業を継続させるなどの対応が可能であることから、企業のBCP対策の一つとして活用することもできます。

IoTにおけるエッジコンピューティングの利点・BCP対策

IoTにおけるエッジコンピューティングの課題


IoT化の進む現代において利点の多いエッジコンピューティングですが、便利な反面、課題も少なくありません。
では一体、どのような課題があるのでしょうか?ここからは、エッジコンピューティングが抱える課題について分かりやすくまとめていきます。

機器や保守管理にコストがかかる

企業の業務をIoT化する際にエッジコンピューティングを活用することで、データ送信時の通信コストを削減することができますが、その一方で、エッジデバイスを複数設置するための機器の導入や保守管理にはコストがかかってしまいます。

ただし、これをコストと見るか投資と見るかは導入の目的次第です。
IoTを導入することで業務の効率化や生産性向上などメリットも多くあるため、費用対効果を見ながら判断することが大切です。

デバイスの管理が複雑化しやすい

エッジコンピューティングでは、エッジデバイスを複数箇所に設置してデータを取得するという特性上、多数の端末を管理しなければいけません。しかし、端末内にインストールされているアプリのバージョンや電源のオン・オフなど、エッジデバイスの数が増えれば増えるほど端末ごとに状態のバラつきが出てしまい、管理が複雑化しやすいという課題があります。

利用するIoTシステムやサービスによっては、エッジデバイスを一括して管理できるマネジメント機能を持つものもあるため、多数のエッジデバイスを利用する際は導入前にあらかじめ管理方法についても検討しておくと良いでしょう。

データが欠落するリスクがある

エッジデバイスに記録できる容量には限りがあるため、端末内で処理された必要なデータをクラウドサーバへ送信した後に不要になったデータは順次削除されてしまいます。

しかし、通信障害やサーバーメンテナンスなどによりクラウドサーバへデータ送信できなくなると、必要なデータが削除されてしまうリスクがあるため、システム運用中に起き得るケースを想定した上でエッジデバイス内のデータ管理を適切に行う必要があります。

エッジデバイスのセキュリティティリスク

IoTの仕組みに欠かせないエッジデバイスですが、インターネットを経由して繋がっている以上、サイバー攻撃やマルウェアなどの脅威は避けては通れません。

ネットワークに対するセキュリティ対策を十分に行っていたとしても、エッジデバイスであればネットワークから侵入しなくても物理的に手に取ることも可能であるため、犯罪者の手で直接情報を抜き取ったり、マルウェアを仕込まれたりといったことができてしまいます。この点はIoTにおけるエッジコンピューティングの課題とも言え、エッジデバイス側のセキュリティ対策も行う必要があります。



IoTにおけるエッジコンピューティングにはコスト面やセキュリティ面などにいくつか課題がありますが、あらかじめIoTの導入目的を明確化しておくことで、解決できるものも少なくありません。

エッジコンピューティングの課題や特性を理解しつつ、スムーズに運用するには専門知識が必要です。

しかし、もし社内にIoTの専門知識を持つスタッフがおらず、「どう導入すればいいか分からない」「できるだけリスクを抑えた運用を行いたい」などでお困りの場合は、IoT導入の専門家に相談してみることをおすすめします。

IoT導入の専門家であれば、自社の課題に合わせた最適なIoTシステムを提案してくれるだけでなく、導入や運用のサポートも期待できるため、ぜひ一度問い合わせてみると良いでしょう。

IoTにおけるエッジコンピューティングの活用例

IoTの仕組みの一つとして、既にエッジコンピューティングはさまざまな分野で活用されています。

例えば、オフィスや工場での顔認証による入退室管理システム。従来ではICカードをタッチして入退室を行っていましたが、AIカメラを各ゲートに設置しておくことで、通過する際に登録された人物かどうかを瞬時に判断することができるためICカードを出し入れする手間なくなり、入退室管理が効率化できるほか、なりすましや不審者の侵入を防ぐことも可能です。

また、同じくAIカメラを活用すれば、前述の入退室管理だけでなく、店舗・施設のセキュリティの強化、さらに来客分析も可能。AIによる画像解析で年齢や性別などの顧客属性やエリア内の動線、滞在時間などが分析できるため、企業のマーケティングにも活用されています。他にも、車の自動運転システムや製造業においては工場の自動化など、活躍の場は年々広がっています。

このようにエッジコンピューティングは、そのメリットや特長を上手く活かして利用することで企業の業務効率化やコスト削減が期待できるため、今後もさらなる進化が期待されている技術となっています。もし、「自社の課題にエッジコンピューティングが活用できるのだろうか」「エッジコンピューティングを導入したいけれど、何から始めればいいか分からない」などでお悩みの場合は、ぜひ一度、エッジコンピューティングの専門家にご相談ください。

私たちVieureka(ビューレカ)なら、導入から運用までお客様の課題に合わせてサポートさせていただきます。

関連記事:「エッジコンピューティングの活用例は?導入・運用する上で注意しておきたいポイントも解説

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