2023年09月26日
IoTとは?その仕組みやできること・業界別の活用例について
近年の技術の進化に伴い、暮らしの中でもよく耳にするようになった「IoT」という言葉ですが、その仕組みや機能については上手く説明できないという方も少なくないのではないでしょうか?
そこで今回は、「IoT」について正しく理解するために、IoTの意味やその仕組みを構成する要素、各分野における具体的な活用例についてご紹介していきます。自社の業務にIoTを導入するために、基本的な仕組みを理解しておきたいという方にぴったりの内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
IoTの意味と仕組み
IoT(アイオーティー)とは”Internet of Things”の頭文字を取った言葉で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。
もう少し具体的に説明すると、パソコンやスマートフォンをはじめ、カメラやスピーカー、冷蔵庫やエアコンなどの家電製品、自動車など、身の回りの様々なモノをインターネット経由で接続して相互にデータを送信することで、情報伝達や遠隔操作を可能とした仕組みのことを指します。
近年では、音声で家電を制御するスマートスピーカーや自宅にいるペットの見守りカメラなどの身の回りの生活を便利にするものだけでなく、工場では機器の制御や不良品検知、小売店や商業施設ではマーケティングを行う際など、ビジネスにおいても、幅広い分野でIoT技術の活用が進んでいます。
IoTの仕組みを利用してできること
IoTの仕組みを活用してできることには、大きく3つあります。
【IoTの3つの機能】
モノを遠隔操作する
モノの動き・状態を把握する
モノ同士でデータを共有する
それでは、それぞれどのような機能となっているのか、利用シーンと併せて詳しくまとめていきます。
モノを遠隔操作する
IoTの仕組みを活用した代表的な機能の一つが、モノを遠隔操作するというものです。
【遠隔操作の例】
- エアコン・照明器具などの家電をスマートフォンで操作する
- 鍵をかけ忘れた際に外出先から施錠する
- 生産工場などでのロボット制御を行う
- 全国に設置した設備・機器を本部で一括制御する…など
例えば、スマートフォンの専用アプリを使って外出先からでも電源のオンオフや温度調整ができるエアコンや、鍵をかけ忘れても遠隔から施錠できるスマートロックなども、このIoTの機能を利用しています。
IoTの仕組みを活用すれば、離れたところからでも操作することが可能となるため、ビジネスシーンにおいても、上記で示したような生産工場におけるロボット制御はもちろん、拠点から離れた現場での作業や危険を伴う場所での機器制御などにも利用されています。
モノの状態・動きを把握する
IoTの仕組みを活用すれば、モノの動きや状態、周りの環境などを把握することができます。
【状態・動きの検知例】
- 防犯カメラを設置して犯罪や異常がないかを監視する
- 外出先から自宅のペットの様子を確認する
- 店舗の来店客の人数や動線を把握する
- 患者の血圧や脈拍などの健康状態を把握する …など
モノを状態や動きを把握する機能の例としてもわかりやすいのが、防犯カメラやペットの見守りカメラです。他にも、商業施設ではAIカメラを利用して来店客の人数や動線を把握、その分析結果をマーケティングに利用したり、病院や介護施設では入居者の動きを把握して事故防止対策に活用されたりするケースも多くあります。
モノ同士でデータを共有する
IoTの仕組みを活用すれば、人間を介さずにモノ同士でデータを共有することも可能です。
【データ共有の例】
- 誰かが入室したのをセンサーが感知して部屋の照明やエアコンをつける
- 温度センサーに反応してエアコンが自動で温度調整を行う
- (自動運転)周りの状況を把握して車の速度を調整する
データ共有の際は、ネットワークを通じてモノ同士で自動的にデータを送受信して連携することができるため、上記のように、部屋に誰かが入ったら照明を付け、更にそれと連動してエアコンもオンにするといったことが可能となります。
また、道路上の機器と車の制御機器が連動して車の速度を調整したり、渋滞や工事現場などの道路状況を把握してルートを変更したりするなど、近年では、特に車の自動運転で注目されている技術となっています。
IoTの仕組みを構成する4つの要素と役割
モノをネットワークで繋いでデータの送受信を行うことで、遠隔操作やデータ共有を可能にするIoTですが、このIoTの仕組みを構成するのが、「デバイス」・「センサー」・「ネットワーク」・「アプリケーション」の4つの要素となります。
ここからは、それぞれが一体どんな役割を担っているのか、一つずつ解説していきます。
デバイス
デバイスとは、パソコンやスマートフォンのほか、カメラやスピーカー、エアコンや冷蔵庫などの家電、自動車など、通信機能や後述のセンサーが搭載されている端末機器を指します。
このデバイスには、センサー端末としてデータを取得するセンサーデバイスと、データ解析の結果をもとに設備や機器を操作・制御するアクチュエーターデバイスがあります。
関連記事:「エッジデバイスとは?その役割と仕組みについて分かりやすく解説」
センサー
センサーとは、前述のデバイスに搭載されているモノの状態をデータとして測定・取得する装置のことを指します。
IoTの仕組みで利用されるセンサーには様々な種類があり、代表的なものを例として挙げると下記となります。
- イメージセンサー(カメラ)
- 音センサー(マイク)
- 光センサー
- 温度センサー
- 湿度センサー
- 圧力センサー
- 加速度センサー
- ジャイロ(角速度)センサー
- 地磁気センサー …など
このような種類のセンサーによって取得したデータは、IoTデバイスからインターネット経由で送信され、対象となるモノの状態や動きの解析に使われます。
尚、それぞれのセンサーの役割の詳細については、「IoT端末ってそもそも何?その役割やセンサーの種類・活用例とは」でまとめていますので、こちらも併せてご覧ください。
ネットワーク
デバイスに搭載されたセンサーで取得したデータを、クラウドやサーバーなどに送信するための通信手段となるのが、ネットワークです。
IoTの仕組みを利用するには、デバイスとデータを送受信するためのネットワークが必要となりますが、このネットワークにも様々な種類があり、周囲の環境や通信状態によって使い分けられています。
例えば、携帯電話の回線で使われる5G/LTEや、無線で通信できるWi-Fiなどもそのうちの一つです。他にも、低電力で無線通信が可能なBLE(Bluetooth Low Energy)、長距離通信が得意なLPWA(Low Power Wide Area)などがあり、IoTデバイスをこれらのネットワークに接続して情報伝達を行います。
アプリケーション
センサーで取得したデータを可視化するための手段となるのが、アプリケーションです。
アプリケーションとは、デバイスが収集したデータを処理して分析したり、わかりやすく可視化したりするためのソフトウェアのことを指します。このアプリケーションは、パソコンやスマートフォン上で操作することができるものが多く、例えば、センサーで取得したデータを画像データに変換したり、蓄積されたデータをもとに分析予測を行うなど、目的や用途に合わせた機能を組み込む必要があります。
最近では、IoTの仕組みをゼロから開発しなくても、デバイスからアプリケーションまでを一括して提供するプラットフォームサービスもあるため、IoT導入の際には選択肢の一つにしてみると良いでしょう。
IoTの仕組みをどう利用する?実際の活用例は?
IoTの仕組みについて解説してきましたが、実際の現場では、このIoTの仕組みがどのように活用されているのでしょうか?
ここからは、各分野における具体的なIoTの活用例をご紹介します。
製造業:機器の制御や検品作業
工場では、機器の制御や検品作業にもIoTの仕組みが取り入れられています。
例えば、検品作業にIoTを活用すれば、製品に欠陥や傷が無いか、パッケージにゴミなどの異物が付着していないかなど、規格を満たしていない不良品を判別することが可能です。
また、これまで目視で行っていたアナログメーターの数値の読み取りや記録作業などでも、IoTの仕組みを活用することで自動的に記録できるほか、機器に異常がないか監視するなど遠隔からの制御も可能であるため、労働力不足が深刻な製造業において、作業効率の向上だけでなく、ミスの軽減や作業の属人化防止にも役立っています。
関連記事:「製造業におけるIoT導入のメリット・活用方法は?生産現場での活用事例をご紹介」
物流業:在庫管理やピッキング
製造業と同様に労働力不足が課題となっている物流業界でも、IoTの仕組みが活かされています。
従来は人の手で行っていた荷物の仕分けや棚卸しなどの作業ですが、一つ一つ目視で確認することで時間も手間もかかる上、従業員のスキルやその日の体調によって作業にムラやミスが出たりすることも。
そのような際に、AIカメラや非接触型のICタグなどを活用してネットワーク上で一括管理すれば、商品入荷時に自動的に荷物を仕分けたり、ピッキング時には保管場所の位置を瞬時に判別するなどが可能となります。
店舗・商業施設:マーケティング業務
店舗や商業施設では、IoTの仕組みがマーケティングリサーチに応用されています。
例えば、ショッピングセンターの駐車場や入口にAIカメラを設置し、来店客の属性(性別・年齢など)や人数、車のナンバーや車種から商圏や所得層などを分析。その分析結果をもとに、来店客層に合わせて商品を仕入れたり売場レイアウトを改善したりするなど、生産性向上や売上増加を目的にIoTを取り入れる企業も増えています。
また、IoTの仕組みを活用すれば、店舗案内やイベント告知などに使われているデジタルサイネージが視聴されているか、通過人数のうち何人が視聴しているかなどを調べることも可能。AIカメラで顔の向きや視線の動きを分析することで、これまでなら難しかった視聴調査ができるため、より効果的な告知方法や設置場所を検討する際にも有効です。
医療・介護施設:入居者の見守り
医療・介護施設では、患者や入居者の経過観察や事故防止などにもIoTの仕組みが活用されています。
例えば、血圧や脈拍などの健康状態の把握だけでなく、AIカメラを使って動線やトイレの回数、夜間の動きなどを分析することで、事故が起こりやすい場所やシチュエーションを判別したり、入居者の動きから転倒事故などを予測してスタッフに通知したりするなど、施設内での安全性の向上に役立っています。
農業:農作物の育成管理
IoTの仕組みは、農業の分野でも活用が進んでいます。
例えば、農作物をAIカメラで撮影して分析することで、その作物の育成状況や糖度などを判別することができるため、農作物の状態に応じて温度調整や農薬散布を行うなどの品質管理が可能となります。また成熟度をもとにして、収穫時期や出荷量の予測を立てることも可能。
これまで人間の経験値と感覚で判断してきた農作物の育成状況を数値的に管理することで、品質や生産量の安定化が期待できます。
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