2023年08月23日
AIカメラを活用した画像解析とは?その特徴や分析手法・活用例について
近年の技術の進化によって幅広い分野で活用が進んでいるAI。中でもビジネスシーンにおいては、カメラなどで撮影した画像をAIが分析・処理する画像解析の技術に注目が集まっています。
そこで今回は、AIカメラによる画像解析とはそもそも何なのか、その仕組みや特徴、主な分析手法とともに、ビジネスシーンにおいてどのような活用法があるのかを詳しくご紹介していきます。社内の人材不足やコスト削減などの課題をお持ちの担当者の方に参考になるように分かりやすくまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
どう分析する?AIカメラによる画像解析とは
「画像解析」とは、AIカメラなどで撮影した画像・映像からコンピューターが特定の要素を抽出・分析し、その結果をもとに様々な判断を行う一連のシステムのことを指します。
この画像解析の技術は、人間が“モノ”を認識する際の仕組みに似ています。例えば、私たち人間が猫を見て“猫”だと判断する際は、その形状や大きさ・質感など、過去の経験から得た知識をもとにその特徴と合致しているかどうかで“猫”だと判断します。
画像解析の場合は、このような人間の脳が自然に行っているような一連の処理をAI(人工知能)が行うことによって、「画像内の対象物が何であるのか」「対象物がどういう状態なのか」などを機械的に判別して処理していきます。
近年では、技術の進化によってAIが人間と同等の画像認識ができるようになったこともあり、幅広い分野でAIカメラを使った画像解析技術の活用が進んでいます。
関連記事:「AIカメラに欠かせない画像認識技術とは?その種類や画像処理の仕組み」
AIカメラによる画像解析の代表的な分析手法
AIで画像を分析する際の代表的な手法をまとめると、下記の3つになります。
- 物体検出
- 画像分類
- 画像セグメンテーション
ここからは、この3つの手法について分かりやすくまとめていきます。
それが何なのかを判別する「画像分類」
画像分類とは、カメラで撮影した画像に写っているものが何なのかを判断し、特徴ごとに分類する手法です。
あらかじめ正解とされる画像の特徴をAIに学習させることで、新しく読み込ませた画像に映っているものが、その特徴を満たしているかどうかを判断するため、例えば、画像に写っているのが犬なのか猫なのかを、画像全体から判断する分析手法となります。
この画像分類の技術は、製造工場などにおける不良品の判別や、店舗マーケティングでの来店客の属性判別などに応用することができます。
画像のどこに何があるのかを識別する「物体検出」
物体検出とは、画像に写っている特定の物体の位置や種類・個数などを検出する技術です。
対象物の種類の判別は先程の画像分類でも可能ですが、この物体検出では、対象物の位置を絞り込んだり、対象物以外の物体を排除して個数まで正しく検出することもできます。
ビジネスを例にとると、製造工場での外観検査をする際や、街中や店舗で歩行者や来店客のカウントを行う際などに活用されている技術です。また、文字認識にも活用されており、画像のどこにどんな文字が写っているのかを認識し、テキスト化することも可能です。
被写体の領域を分割する「画像セグメンテーション」
画像セグメンテーションとは、画像の領域ごとに何が写っているのかを識別する分析手法です。
もう少しわかりやすく説明すると、例えば、犬と猫が一緒に写っている画像があった場合、どこからどこまでが犬で、どこからどこまでが猫なのかなど、領域ごとに「この領域は何」と判別してくれる機能のことを指します。
「セマンティック・セグメンテーション」や「ピクセルラベリング」と呼ばれることもあり、ピクセル単位で同じカテゴリーに属するものをまとめ、対象物の境界線を分割する際に使用する手法です。
近年では、医療施設などで疾患を発見する際や、信号機や歩行者・車線などを正確に検知する必要がある車の自動運転などでも応用されています。
AIカメラで画像を分析する利点は?
ここまでAIによる画像解析について基本的なことをご紹介してきましたが、やはり気になるのは、AIで画像を分析することによって自社の業務にどのような利があるのか…ではないでしょうか?
AIカメラを利用して画像を分析する際の代表的な利点には、下記のようなものがあります。
- 定型作業が自動化できるため、人材の有効活用ができる
- 労力・コストなどが削減できる
- 人が分析するよりも作業の質が安定する
- 危険な場所での作業でも安全性が向上する
- 人間では気付けなかった法則性が発見できる可能性がある
AIカメラによってルール化された作業を自動化することで、人材不足を解消するだけでなく、AIに置き換えることによって人件費などのコスト削減にもつなげることができます。
またAIであれば従業員の経験やスキル、その日の体調などに影響されることなく、24時間365日稼働することができるため作業の質が安定するほか、危険な場所でもAIが作業することによって安全性を確保することができるなど、企業にとって利点は多くあります。
AIカメラによる画像解析の注意点
AIカメラによる画像解析を利用する際の利点は多くありますが、その一方でデメリットとして捉えられる点や限界もあります。
- 導入・運用のコストがかかる
- データを十分に活用するには知識が必要
- 誤検出や検出漏れの可能性がゼロではない
- AI学習用のデータを用意する手間がかかる
- 環境に依存する
例えば、AIカメラを導入する際のコストはもちろん、分析後のデータを活かすためにはその分野の知識だけでなくAIの知識も必要となるため、社内に適任者がいない場合は外部に依頼することになります。
また、AIによる処理や分析は100%完璧だと思われがちですが、時には人間よりも精度が落ちてしまったり、誤検出や検出漏れを起こしてしまったりすることもあります。そのため、あくまでも最終判断は人間側で行うなど、AIに依存しきらないようにコントロールすることも大切です。
このようにAIカメラによる画像解析にはメリットと併せてデメリットも少なからずあるため、ビジネスで活用する際には、その両面を理解した上で、どの程度の精度が必要であるかを検討した上で導入すると良いでしょう。
尚、AIカメラ導入のメリット・デメリットについては、こちらの
「AIカメラ導入のデメリットは?導入前に知っておきたいAIのメリットとデメリット」で詳しくまとめていますので、ぜひ参考にご覧ください。
AIカメラによる画像解析のビジネス活用例
では次に、AIカメラによって画像を分析することで、どのような業務に活用することができるのか、代表的な活用方法をいくつかご紹介します。
製造業などでの検品作業
AIカメラの画像解析を活用することで、製造業などでは検品作業を効率化させることができます。例えば、AIに商品化できないような傷や汚れ・形状などを学習させておけば、人の目で検品するより安定して高い精度で検品作業を行うことが可能です。
特に製造業では作業がルール化しやすいため、既に多くの企業でAIカメラの導入が進んでおり、人手不足の解消やコスト削減、生産性の向上などに貢献しています。
倉庫業務
従来の倉庫業務では、作業員が出荷伝票などを製品と照合しながらピッキングを行っており、人の手による作業では製品違いや数量違いなどのミスは避けて通れない課題となっていました。
しかし、AIカメラによる画像解析技術を活用すれば、ピッキング作業や在庫管理・仕分け作業などを自動化することができるため、ヒューマンエラーを大幅に軽減することが可能となります。
顔認証による入退室管理
AIカメラの画像解析技術を使うことで、オフィスや工場・研究所などの入退室管理を自動化することも可能です。
AIカメラによる顔認証であれば、人物ごとの入退室履歴を記録したり、リアルタイムで在室状況が確認したりすることも可能。また、従来のような目視による入退室管理よりも精度も高く安定しているためセキュリティ面の強化にもなり、不正な侵入を未然に防ぐこともできます。
店舗マーケティング
AIカメラを活用すれば、店舗マーケティングの効率化が期待できます。
例えば、店舗入口や店内通路にAIカメラを設置すれば、来店客の人数をカウントできるだけでなく、顧客属性や店内の動線などをデータ化することが可能です。また、店内の顧客動線を把握することで、最適な売り場レイアウトや棚割り、人員配置を行うことができるため、小売店や商業施設のマーケティングを効率化し、売上増加に繋げることができます。
店舗マーケティングについての詳細は、こちらの「マーケティングを効率的に!AIカメラによる顧客分析で店内・サービスを最適化」や「AIカメラで何が分析できる?可視化された顧客行動を店舗運営に活かすには」でも解説しておりますので、参考にご覧ください。
車の自動運転
AIの画像解析技術は、車の自動運転には欠かせない技術です。
この車の自動運転では、AIカメラが周囲の車や歩行者と併せて道路標識や信号、白線などを解析することで、人間が運転時に行っている認知・判断・操作などの一連の対応をAIが行う仕組みとなっています。
また車に搭載されたAIカメラで撮影したデータを分析することで、渋滞や工事現場を把握し、自動的に走行ルートを変更するなど、事故や危険運転などの防止だけでなく、渋滞の緩和にも役立っています。
今後ビジネスシーンで重要となるAIカメラの画像解析
近年の技術の進化によって、活用の幅が広がっているAIカメラの画像解析技術。
人の目よりも高い精度で画像を処理・分析することができるAIカメラなら、人手不足の解消やコスト削減、生産効率の向上などが期待できるため、今後もますますビジネスシーンでの活用が進んでいくものと思われます。
もしAIカメラを自社の業務に活かしてみたいと興味を持たれた方がいらっしゃれば、ぜひ一度、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?
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