2023年03月31日
エッジデバイスとは?その役割と仕組みについて分かりやすく解説
皆さんは「エッジデバイス」と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日常生活の中ではあまり触れることのない言葉かもしれませんが、実はエッジデバイスは、私たちの身の回りに多く存在しています。
そこで今回は、そもそもエッジデバイスとは何かをご説明するとともに、私たちの身の回りでエッジデバイスがどのように活用されているのかをご紹介します。
目次
エッジデバイスとは?
エッジデバイスの「エッジ(edge)」は、直訳すると「端の」「末端」「ふち」という意味を持ち、「情報端末」や「周辺機器」「装置」などを意味する「デバイス」とあわせると、エッジデバイスとは「ネットワークに接続された端末装置」という意味になります。
ネットワークの末端にあることでエッジデバイスと呼ばれているこの端末ですが、その種類は幅広く、明確な定義付けが難しいのですが、例えば、皆さんの身近にあるスマートフォンやカメラ、スキャナーやスマートスピーカーなど、ネットワークにつながっている機器類はエッジデバイスの一つだと言って良いでしょう。
エッジデバイスの役割と仕組み
スマートフォンやカメラなどに代表されるエッジデバイスには、データを収集してクラウドに送信するという役割があります。
そのエッジデバイスを活用した処理の仕組みを簡単にご紹介すると、以下のような流れになっています。
- エッジデバイスが収集したデータをクラウドに送信する
- クラウド上のシステムが送信されたデータを処理する
ユーザーがクラウドにアクセスして結果を参照する
また近年では、エッジデバイス自体にAI(人工知能)を搭載した「エッジAI」と呼ばれるものがあり、端末内で処理を行うことでデータの送受信が省略されるため、処理の仕組みは下記のような流れとなります。
- エッジデバイスがデータを収集する
- エッジデバイス内でデータを処理する
- その結果を動作に反映する
このエッジAIを使うことにより、ネットワークにかかる負荷を軽減することができたり処理スピードが向上したりするなど、多くのメリットが生まれるのですが、その具体的な内容については、次の章でまとめていきます。
エッジデバイスが与えるメリットとは?
では、AIが搭載されたエッジデバイスを活用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?
ここではエッジデバイスが持つメリットについて大きく3つに分けてご紹介します。
処理スピードの向上
従来のシステムでは、端末でデータ収集をしてそのデータを全てクラウドに送信し、クラウド上で処理を行うという流れが一般的でしたが、AIが搭載されたエッジデバイスであれば、端末内でデータ収集から処理まで行うことができるため全体的な処理スピードが向上します。
そのため、特にリアルタイムでの対応が必要な車の自動運転や工場などでの機器の制御などに大きなメリットをもたらします。
また、エッジデバイスの場合は、処理したデータの中から最低限必要なものだけを送信することもあり、クラウド上で処理をする従来のシステムと比較すると通信量が大きく抑えられるため、ネットワークへの負荷を軽減することができるという点もメリットの一つに数えられます。
セキュリティリスクの軽減
エッジデバイスは、外部のネットワークを介さずにそのまま端末内で処理を行うため、個人情報や機密情報の漏洩などのセキュリティリスクを軽減することができます。
また、セキュリティリスクの軽減だけでなく、プライバシーへの配慮も可能。エッジデバイス内で処理が終われば、そのまま端末内で元データを破棄することもできるので、データとして収集された個人の情報を第三者の目に触れることなく解析を終えることができます。
精度の高い処理
クラウド上でデータを処理する場合は全てのデータを送信する必要があるため、データ容量が大きいものには圧縮処理が施されます。その圧縮処理によってデータの画質などが劣化することがあるのですが、その劣化したデータで処理を行うことで解析結果に影響が出てしまう場合があります。
しかし、エッジデバイス内で処理を行うのであれば、圧縮前の元データを使って処理ができる上に、ネットワークを介してデータを送信する際、通信状態などの理由によりデータが欠落するなどのアクシデントも起こらないため、クラウド上での処理と比較するとエッジデバイスでの処理は精度が高いと言えるでしょう。
関連記事:「エッジAIにおける現状の課題は?煩雑な運用を円滑にする最新の仕組みをご紹介」
身近なところで活躍!エッジデバイスの活用例
普段から「エッジデバイス」という言葉に耳なじみがない方は、難しく感じてしまうかもしれませんが、実は、意外と日常生活の身近なところで活用されているのをご存じでしょうか?
ここでは、私たちの身の回りにあるエッジデバイスの活用事例をご紹介します。
エッジデバイスの活用例①:ドライブレコーダー
事故の記録やあおり運転などの抑止力として必要性が高まっているドライブレコーダーですが、このドライブレコーダーもエッジデバイスの一種です。
ドライブレコーダーは運転中の映像や音声などを自動的に記録するだけでなく、加速度センサーや危険な挙動を検知するジャイロセンサーが搭載されており、信号無視や車線の逸脱などの危険な運転行動をリアルタイムで検出してドライバーに通知するなど、交通事故防止にも活用されています。
エッジデバイスの活用例②:セルフレジ
スーパーや雑貨・衣料品店などでも導入が増えているセルフレジですが、このセルフレジもエッジデバイスを活用したシステムです。
セルフレジでは、エッジデバイスであるカメラがバーコードを検出したり、買い物かごの中の商品の色や形からどの商品かを判別したりと、エッジデバイスのAI(人工知能)に組み込まれたバーコード検知や画像認識などの技術によって精算が行われるという仕組みになっています。
エッジデバイスの活用例③:農作物の成熟管理
私たちの食卓に欠かせない野菜や果物などにも、エッジデバイスの技術が活かされています。
例えば、スマートフォンやドローンに搭載されたカメラで農作物を撮影して分析することで、その作物の育成状況や糖度などを判別することができるため、状態に応じた温度管理や農薬散布を行うなどの品質管理に役立てたり、成熟度をもとに収穫時期や出荷量の予測を立てたりと、農業の現場でもエッジデバイスを活用した取り組みが始まっています。
さらなる可能性を秘めたエッジデバイス
IOT家電やスマートフォンなどをはじめとして、今や私たちの生活の身近なところで活躍の場を広げているエッジデバイス。
このエッジデバイスの特性を活かして上手く活用すれば、従来の仕組みでは難しかった課題に対する解決法が見つかるかもしれません。私たちの生活やビジネスをより良いものにしていくために、エッジデバイスの活用について、一度検討してみはいかがでしょうか?
AIを搭載したエッジデバイスが、実際にビジネスの現場でどう使われているのかについては、こちらの「エッジAIを自社の課題にどう活かす?実際の導入事例と業種ごとの活用方法」でご紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。
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