2022年12月13日
【Vieurekaパートナーインタビュー】第1回 IoT.kyoto様
Vieurekaパートナー企業の方々にインタビューを行い、Vieurekaの使い勝手や活用した取り組み、そして実際の苦労話などの本音ベースで余すところなくお届けするシリーズ企画です。
今回は、Vieurekaパートナー設立当初からご活躍頂いているIoT.kyoto様です。Vieureka顔認証ベーシックパックや異常検知サービスなど多くのサービス提供を頂いています。シニアエバンジェリストの辻一郎様を中心に毎回あっと驚かされる取り組みをされています。今回は展示会向けのデモシステム構築に奮闘されている中、お話を伺ってきました。ではインタビューをご覧ください。
どのような経歴をお持ちなのですか?
辻:もともとサーバインフラがメインです。某メーカさんのバックオフィスシステムの仮想化基板構築やメンテナンスを行っていました。僕はあまり言語を書かないのですが、学生時代に電子情報を専攻していたので、ある程度ものづくりのベースみたいなところはわかっていますね。
IoT.kyotoさんでサービスをご提供されるようになったきっかけは何ですか?
辻:2016年に、新規事業をやってみようということで、IoTの分野に挑戦してみようとなりました。当初は実績がなったのですが、運が良かったことにビッグプロジェクトが受注できて、半年くらいで導入目指してやりましょう!となったことですね。提供したサービスは、産業用ロボットの遠隔監視・制御を行うもので、ロボットメーカー様にOEM提供しました。これはラッキーでした。実績も事例もなにもないところからでしたから、唯一あるとすれば展示会でデモ展示をしたくらいでしたね。
その後は、IoTでなにか面白いことをやっている会社だぞということで、案件がトントン拍子で決まっていきました。
現在はどのようなサービスを展開されているのですか?
辻:現在の事業の中心はグローバル向けの大規模プラットフォーム等、複数のエンドユーザー様が利用するマルチテナントのIoT/AIシステムの開発です。IoT.kyoto MORAT GWやIoT.kyoto CurrenTIAといったオリジナルデバイスもご好評をいただいています。
販売されているAIカメラお手軽導入パックとはどのようなサービスですか?
辻:お問い合わせのあるお客様からAIの専業ベンダーに問い合わせると、“500万円とか1千万円スタートでシステム作りましょう。”といわれましたと予想よりも高額で困ってしまう。そこで、当社のお手軽導入パックでは約10万円からスモールスタートできるようにしました。Step1ではフィジビリティ検証にフォーカスしサンプル画像による初歩的なAIモデルによる推論を行い、その結果に関するレポートを納品します。このような内容で10万円になり、レポートを見て次のステップに進むかどうかをお決めいただきます。Step2のフェーズでは、AIモデルの開発がメインになるので、ある程度工数をかけないと良いものができない。AIモデルの開発って上限がないですからね。そこでミニマム100万円単位で費用を頂き精度を確認しながら、AIモデル開発を進めています。それと内容を事前に想定して、どの程度までできるかをお客様と共通認識した上で要求仕様にあったサービスの提供を進めるようにしています。
導入は進んでいますか?
辻:やはり中小企業で興味を示すところは増えてきましたが、この価格帯では躊躇されますね(笑)。やはりAIのイメージは、まだまだ何でも出来てそして安いというイメージを持ってらっしゃいますね。え、3桁いくんですか!そりゃいきますよ。というのは、あるあるですね。(笑)なぜなら開発は、かなり地道な作業です。ひたすら、アノテーションしなくちゃいけないとか。この点に関しては、まだ興味示していただいているような中小企業さんには、開発の難しさが浸透していないなと思いますね。
今後はAIモデルも異常系の学習なしでも使えるとか、動画だけでモデルが作れますとか、色々なものがでてくると思います。でもまだまだ今は過渡期だと思いますね。
Vieurekaパートナーに加入頂いたきっかけは何ですか?
辻:元々Vieurekaが面白いとなったのは、八子クラウドですね。2019年に新大阪のMOTEXさんの会場で八子クラウド座談会in関西のイベントがあったんですよ。僕の座っていた席の斜め後ろ当たりに、宮﨑さん(Vieureka㈱代表取締役社長)もいらっしゃって。既に当月末にあるVieurekaプラットフォーム紹介セミナーにも登録していました。そこで宮﨑さんと話しました。“セミナー申し込んでいるんですよ。”が宮﨑さんと会話した第一声でしたね(笑)。それからVieurekaをしばらく使ってみて、面白そうだってなりましたね。
他社さんの競合製品もある中、Vieurekaをお使い頂いて感じているメリットはありますか?
辻:これは、OpsDevの考え方にマッチしています。DevOpsではなくOpsDevです。Ops(オペレーション)を考えてDev(ディベロップメント)をやらないと大抵失敗してしまいます。とりあえずなんかできましたというのは、実際運用に向かないことが多いので意味ないです。僕らは多くの運用を実施しているのでそのあたりのノウハウを持っています。だから運用考えた上でデバイスを選ぶとなるとVieurekaという選択肢になりましたね。
コロナ禍で約3年ぶりに展示会用でデモを作製されたと伺いましたがどのくらいの作製日数がかかったのですか?
辻:一ヶ月くらいですね。APIを作って、画面はどのように設計して、デザインを考えて、等を数人で分業してお披露目できるレベルに仕上げています。
異常系学習なしの異常検知モデルとのことですが、開発するのにはどのようなスキルが必要ですか?
西村: VieurekaSDKにサンプルアプリがある程度用意されているので、ソースコードを読むことができれば、サンプルアプリを活用しながらに開発できると思います。重要なのはソースコードを読むスキルですかね。今回は開発言語としてPythonを使いました。ライブラリとしてはPytorchを使っています。
PythonやPytorchは以前から利用されていたのですか?
西村:私は昨年入社したのですが、入社後に初めてPythonを使いました。活用経験でいうと1年半くらいですね。
Pythonを使いこなせたのはすでに取得しているスキルは影響していますか?
西村:そうですね、学生の頃にR言語を少々学んでいました。この言語は簡単にモデルの推定を行うことに使える言語です。こちらを習得していたので比較的容易にPythonを使うことができたのかなと思います。
今回のデモにも共通すると思いますが、開発時に大事にしていることはありますか?
辻:僕らの着眼点としては、“やってみよう”ではなく、“ちゃんとものとして売れる”をテーマにしています。ちゃんと値付けして売れるように応用開発をする。値付けをしていないと、場当たり的な製品になってしまいます。そのために開発に着手する前から様々な要件をしっかり検討して値付けをすることが重要だと思っています。
サービス開発にあたって一番重要としていることは何ですか?
辻:世の中にまだないものを作り出すことです!!
世の中にないものをつくるのは簡単ではないですよね?
辻:もちろん、そうですよ(笑)。深化と探索の考え方がありますが、僕らは探索をメインとするチームです。探索をやり続けて当社のブログで発信しています。正直、事業としてはこれだけではあまり利益は生まないですよ(笑)。
パートナー加入を検討されている方へコメントいただけますか?
辻:まずVieurekaを触ってみて愛着をもってもらうところからがスタートかなと思いますね。よく他社の方々とお話をしているとお聞きすることは、僕たちは研究開発の一貫としてVieurekaを触ってみたりしていますが、“うちの会社はそういう文化がなくて無理ですよ。”と言われることが多いですね。でもそこを変えないと進まないですよね。案件がきたらやりますよとおっしゃいますが、案件が来た際にやれますか?案件が来るときのために、ノウハウを貯めることが大切で、ほんまにやりたいならばデモの一つでもつくっておくべきだと思いますよ。でも企業として結果が未知数なところに先行投資をするのはハードルが高いとは思いますね。(笑)
Vieurekaパートナープログラムに期待することはありますか?
辻:オフラインでパートナー皆さんが集まって、デモをお披露目して技術的な議論をする場があればいいですね。今回のデモを作る際にも、Pytorchでどのようにできるのか?そういう議題を皆さんとフランクに話ができる場、解決するアプローチを見つけられる場があればいいですね。
最後に、貴社の今後の展開について教えてください。
辻:大規模案件の引き合いと量産化をしたいですね。こういった量産化できるサービスを増やしたい。その中でAIカメラを活用した領域にどんどん踏み込んでいきたいと思っています。現在のAIはコンピュータビジョンが主流ですがデータレイクの領域にも可能性があると考えているので、予知保全などにも取り組んで行きたいです。 また、AIを活用したサービスは、お客様から丸投げされて成功するものではないので、僕たちの伴走に熱意を持って一緒に汗かいて走っていただけないと難しいです。まだまだAIはコモディティではなく、アーリーアダプタの領域だと思っています。今後はマジョリティの領域にも使えるように技術もサービスも向上させていきたいと思っています。